『JOKER』Ⅲ

テニスコートでは、決勝戦が行われていた。

いつも結構盛り上がるが、他の競技もあるのでたかが知れている。

しかし、今回の盛り上がりは今までにないくらいのものだった。

その理由にはもちろんリョーマも入っているが、1番の原因は人気名高い青学テニス部レギュラー陣がそろいも揃ってることだ。

「あの子が噂のこ?」

「うわぁ!ちっちゃくてかわいい、おちびだにゃ!!」

「こんな子がいたなんていけねぇな、いけねぇよ。」

「いいデータが取れそうだ。」

「まさか、さっきの子が不二たちが言っていた子だなんて…。」

リョーマにしてみれば、いい迷惑この上なかった。

それもそのはず。

リョーマはこの学校であまり目立ちたくなかった。

ただでさえ、部活は幽霊部員だ。

それに親父の恩師である先生の部活への申し出も断っているのだ。

あとで、どんな目に逢うことか…。

早く終わらそうと思い、一気に相手に勝負をかける。

ボールのスピードを速め、コースもさらにきわどい所を狙って行く。

すると、やはり相手はそこまで慣れていないらしく、すぐにボールに追いつけなくなる。

そして、審判の声が響き渡る。

「ゲームセットウォンバイ越前6-0!!」

こうして、リョーマは圧倒した強さで、硬式テニス部門で優勝したのだった。

 

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