テニスコートでは、決勝戦が行われていた。
いつも結構盛り上がるが、他の競技もあるのでたかが知れている。
しかし、今回の盛り上がりは今までにないくらいのものだった。
その理由にはもちろんリョーマも入っているが、1番の原因は人気名高い青学テニス部レギュラー陣がそろいも揃ってることだ。
「あの子が噂のこ?」
「うわぁ!ちっちゃくてかわいい、おちびだにゃ!!」
「こんな子がいたなんていけねぇな、いけねぇよ。」
「いいデータが取れそうだ。」
「まさか、さっきの子が不二たちが言っていた子だなんて…。」
リョーマにしてみれば、いい迷惑この上なかった。
それもそのはず。
リョーマはこの学校であまり目立ちたくなかった。
ただでさえ、部活は幽霊部員だ。
それに親父の恩師である先生の部活への申し出も断っているのだ。
あとで、どんな目に逢うことか…。
早く終わらそうと思い、一気に相手に勝負をかける。
ボールのスピードを速め、コースもさらにきわどい所を狙って行く。
すると、やはり相手はそこまで慣れていないらしく、すぐにボールに追いつけなくなる。
そして、審判の声が響き渡る。
「ゲームセットウォンバイ越前6-0!!」
こうして、リョーマは圧倒した強さで、硬式テニス部門で優勝したのだった。
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