「ねぇ、ねぇ、菊丸君知ってる?すごい強い1年生のこと。」
そう話しかけてきたのは、同じクラスの女の子だった。
「えっ、何の事?」
「それがね、硬式テニスのとこで小さいけどすごい強い男の子がいるって、噂が出てるの。なんか、最初っから去年準優勝した人と当たったらしいんだけど、圧勝したらしいよ。私もさっき見に行ってきたけど、ルールわからない私にも、強いってわかるぐらいすごかった…。」
「ねぇ、大石、不二、1年でそんなに強いこっていたかにゃぁ?」
「ん~いなかったと思うけど。」
「実に興味深いね。ねぇ、レギュラーの皆を誘って見に行かない?」
「不二、それいい考えにゃ!!さっそく誘って行こう!」
「ああ。」
そう言って、皆に電話していった。
「ふあぁぁぁ…、眠い…。」
時計を見ると、次の試合開始までまだ少しある。
これなら昼寝をすることができるだろう。
リョーマは木陰に横たわり、木にもたれかかり目を閉じる。
すると、すぐに睡魔がやってくる。
「んん…。」
しかし、そのまま眠ることは叶わなかった。
それは横から聞こえた侵入者の声のせいだった。
「こんなところで何をしているんだ?」
「別に…ただ眠いから寝てるだけ。」
来た男を見ると、渋い感じで先生の誰かかと思ったが、体操服をきているので生徒だったのかと思いなおした。
それにしても、日本人は童顔に見えるのにこの人は珍しい…老けて見える。
少し興味がわいたリョーマは眠ろうとしていたが、彼に再び話しかける。
「で、何の用?」
「いや…特に用はない。ただ、こんなところで寝ているから風邪をひかないかと思っただけだ。」
「そう。大丈夫だよ。春だからぽかぽかして気持ちいいよ。」
「そうか。そういえば、まだ名乗っていなかったな、俺は3年の手塚だ。」
「ああ、俺は1年の越前っす。」
時計を見ると、結構時間がたっていたみたいだ。
もうすぐ、試合開始時刻だった。
「じゃあ、俺これから試合があるんで。」
「ああ。」
そう言って、リョーマはテニスコートの方に向って歩いて行った。
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