『双りの絆を守りきれ』弐

学校に行き、いつも通り授業を受けて終わった。

テストが近いので、昌紀の周りには人がたかっていて大変だった。

浩紀たちもその1部だが…。

 

最近は毎日学校が早く終わる感じがした。

それはきっと、とても楽しいからだろう。

燈湖以外にいなかった心友。

今ではたくさんの人とちゃんとした友達となった。

きっと、少し前にはもう戻れないだろう。

それぐらい、昌紀にとって大きかった。

 

 

 

テストも近いということで、学校が終わった後、すぐに勉強を始めた。

そんなとき、コンコンと控え目に扉が叩かれる。

「昌紀…ちょっといい?」

昌紀は、聞こえてきた声にひとつ返事を返す。

「どうぞ。」

そうすると、彩子がスッと入ってくる。

彩子の方を見ると、俯いていて顔がよく見えない。

そう言えば、さっきの声も少し元気がなかったように聞こえた。

何かあったんだろうかと考えていると、彩子が話し出す。

「…さっき、怖い夢を見たの。紹子は見てないらしいんだけど…。」

「とりあえず、ここに座ったら?その方がゆっくり話せるだろう。」

彩子の不安そうな声に、少しでも落ち着くようにと努めて穏やかな声で話しかける。

「うん…。」

彩子は言われたとおりに座ると、少し黙り、やがてぽつぽつと話し出す。

「…真っ暗な所にいるの。誰もいなくて…何もなくて…ただ、声が聞こえるの。『応え(いらえ)』って…。でも、答えたらだめな気がして…もし答えたら、もうみんなに会えなくなるんじゃないかって思って…。」

彩子はいつの間にか話しながら涙を流していた。

肩は震え、酷く頼りなかった。

そんな様子がせつなくて、昌紀はそっと、しかし力強く抱きしめる。

「彩子、怖かったね。よく頑張ったね。」

そう言って、頭をやさしくなでる。

昌紀から伝わる温度に、彩子は少しずつ落ち着いていく。

「夢で聞こえた声に、決して答えちゃだめだよ。その声は、彩子をとらえるものだ。」

「…うん。」

「一応、神将をつけてもらって、神器もお守りに持っておこう。彩子を守ってくれるように札を書いて。」

「ありがとう…。」

昌紀の優しさに、彩子は目を赤くしながら笑う。

「無理に笑わなくていいんだよ。辛い時や悲しい時は思いっきり泣いていいんだよ。」

「…う…ん。」

「俺ができることは何でもするよ。浩紀だって、彩子を守ってくれる。十二神将やじい様だって…。彩子は独りじゃないいんだ。いつだって皆に頼っていいんだ。」

昌紀の言葉に涙がとまらない。

「できるだけ、しばらく1人にならないようにしよう。また、夢や異変が起こったら言って。言うだけでも違うでしょ。」

「……うん!!」

 

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PARALLELⅡ