ガチャ。
「おはようございます、じい様。それに母さんや父さん、兄さんたちも。」
「ああ。おはよう、昌紀。」
扉から入ってきたのは昌紀だけだった。
「浩紀はどうしたの?」
「ちょっと…もっくんがキレちゃって、浩紀にかかと落としをきめちゃったから沈んでるよ。」
もちろん、全面的に浩紀の寝言が悪いので、昌紀は浩紀の弁解をしない。
「それにしても昌紀は朝に強いのに、浩紀はなんでこんなに弱いのかしら。」
「体質があるからしょうがないよ、母さん。」
「それより昌紀、今日は勾陣と玄武にお前の護衛をさせる。浩紀にはいつも通り紅蓮と六合じゃ。」
「お願いします。」
毎朝、世明は昌紀たちに護衛をつける。
昌紀には勾陣・青龍・玄武の誰かを。
浩紀には騰蛇・六合・太陰の誰かを。
この護衛は彩子や翔子の護衛も兼ねているので、常に2人はついている。
「ねぇ、昌紀。わからないとこがあるの、教えてくれないかしら?」
「私も。」
「いいよ。」
とニコッと笑う。
彩子と翔子は待ってましたと言わんばかりに、彰子は英語の教科書を…翔子は数学のワークを出す。
「でも、今は時間がないから教室でね。」
「「ええ。」」
「そろそろ、行かないと遅刻しちゃうね。」
昌紀の言葉に昌央が提案をする。
「今日は、仕事が休みだから送ってあげるよ。」
「本当ですか?」
「ああ。」
「ありがとう、昌央兄さん。」
哉央と昌央は仕事が休みのたびに、昌紀たちを送ってくれる。
決して遠くはない学校だが、朝や夜しか話すことができない兄たちと一緒にいられて、昌紀は実は嬉しかった。
浩紀も少し遅れて、準備をして降りてきた。
皆がそろったので、学校に向けて出発する。
仲良く話し、笑いながら。
今日の楽しい学校を心に思い浮かべながら…。
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