ストッ…ツッー。
ボールが転がっていく。
しかも、その方向は普通ではあり得ないもので、ネットに向かって戻っていく。
戦慄した。
体全身の血が沸騰するかのように、興奮した。
ここに…日本に来て良かったと。
私は、そこらへんの男のテニスプレイヤーにも負けない自信があった。
でも、負けてしまった。
とても強くて、綺麗だった…。
「越前…お前は青学の柱になれ。」
その言葉を部長に言われた時、認められたことがただ嬉しかった…。
都大会2週間前。
各校は都大会に向けて、着々と準備を進めていた。
もちろん青学も…。
最近の青学テニス部は、とても騒がしかった。
その原因は、もちろん噂の1年ルーキー…リョーマの事で、たくさんの学校が偵察に来ているからだ。
「レギュラーは、A・Bコートで乾のメニューを。残りの2・3年はC・Dコートで通常メニューを。1年生は玉拾いを。」
「「「「「「「はい!!」」」」」」」
皆が一斉に返事をし、指示されたコートに入っていく。
レギュラーたちは、乾のメニューがとても気になっていた。
それは罰と称して、乾特性ドリンクを飲まされるからだ。
それも、人が飲むようでないものを…。
「乾、それで何すんの?」
「ああ。俺たちはダブルスが弱いから、その対策をしょうと思って、とりあえず適当に組んで入ってもらうよ。」
「でも、手塚はやめた方がいいんじゃないの?」
と、いきなり不二が話に入ってくる。
その言葉に、意味がわからないリョーマが尋ねる。
「どういうことっすか?」
「ああ。そっか、越前は知らなかったね。手塚って、ダブルスが全くできないんだよ。」
「えっ?!…じゃあ、俺と組んでやりませんか?」
いきなりのリョーマの提案に驚く。
しかし、玉林中との試合の時、圧倒的な勝利を収めた。
それは、青学のメンバーにとって、とても驚くことであった。
青学メンバーにとって、リョーマは唯我独尊をいって、協調性がないので、ダブルスは全くできないと思っていたからだ。
「…別にかまわないが。」
その言葉に、笑みを浮かべる。
「じゃあ、決まりっす。」
「それじゃあ、手塚・越前対海堂対桃城で試合をしよう。で、もう1試合は大石・菊丸対河村・不二でしよう。じゃあ、皆入って。」
こうして、手塚が前代未聞のダブルスをすることになったのだった…。
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