『LONELY THE GENIUS』ⅩⅠ

 

ストッ…ツッー。

ボールが転がっていく。

しかも、その方向は普通ではあり得ないもので、ネットに向かって戻っていく。

戦慄した。

体全身の血が沸騰するかのように、興奮した。

ここに…日本に来て良かったと。

私は、そこらへんの男のテニスプレイヤーにも負けない自信があった。

でも、負けてしまった。

とても強くて、綺麗だった…。

「越前…お前は青学の柱になれ。」

その言葉を部長に言われた時、認められたことがただ嬉しかった…。

 

 

 

都大会2週間前。

各校は都大会に向けて、着々と準備を進めていた。

もちろん青学も…。

最近の青学テニス部は、とても騒がしかった。

その原因は、もちろん噂の1年ルーキー…リョーマの事で、たくさんの学校が偵察に来ているからだ。

「レギュラーは、A・Bコートで乾のメニューを。残りの2・3年はC・Dコートで通常メニューを。1年生は玉拾いを。」

「「「「「「「はい!!」」」」」」」

皆が一斉に返事をし、指示されたコートに入っていく。

レギュラーたちは、乾のメニューがとても気になっていた。

それは罰と称して、乾特性ドリンクを飲まされるからだ。

それも、人が飲むようでないものを…。

「乾、それで何すんの?」

「ああ。俺たちはダブルスが弱いから、その対策をしょうと思って、とりあえず適当に組んで入ってもらうよ。」

「でも、手塚はやめた方がいいんじゃないの?」

と、いきなり不二が話に入ってくる。

その言葉に、意味がわからないリョーマが尋ねる。

「どういうことっすか?」

「ああ。そっか、越前は知らなかったね。手塚って、ダブルスが全くできないんだよ。」

「えっ?!…じゃあ、俺と組んでやりませんか?」

いきなりのリョーマの提案に驚く。

しかし、玉林中との試合の時、圧倒的な勝利を収めた。

それは、青学のメンバーにとって、とても驚くことであった。

青学メンバーにとって、リョーマは唯我独尊をいって、協調性がないので、ダブルスは全くできないと思っていたからだ。

「…別にかまわないが。」

その言葉に、笑みを浮かべる。

「じゃあ、決まりっす。」

「それじゃあ、手塚・越前対海堂対桃城で試合をしよう。で、もう1試合は大石・菊丸対河村・不二でしよう。じゃあ、皆入って。」

こうして、手塚が前代未聞のダブルスをすることになったのだった…。

 

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PARALLELⅣ