『悲しき運命を打ち破れ』弐拾伍

「鎖響、元佳よ。安部 昌浩の生まれ変わりを連れてこい。」

「はっ。しかしながら、同じ顔が2人おります。」

そう。

鎖響と元佳は、昌浩を見たことがないのでわからなかった。

「そうか。なら、鎖響の力を使えばよい。お前の力は、過去などを利用するものだ。」

「さすが、昂然様。かしこまりました。必ず、安部 昌浩を連れてきましょう。」

 

 

 

昂然たちがそんな話をしてるとは、ちっとも知らずに昌紀たちは、ご飯を皆で食べていた。

「浩紀。」

「何ですか、じい様。」

「今日の夜警はわしも行くことにする。」

世明のいきなりの提案に驚く。

「どうしてですか?」

「やな予感がするんじゃ…。今、十二神将たちに町の様子を見に行ってもらっておる。」

「気をつけろよ、浩紀。」

「わかってるよ、哉央兄さん。」

そんな話をしている時だった…。

ドーン!!!

家全体が大きく揺れる。

「何だ?」

隠形していた、十二神将たちが一斉に顕現する。

「世明様、大丈夫ですか?」

「ああ。…結界が壊れたみたいじゃ。」

そんな中、1人だけ立って上を見ていた。

「昌紀、どうしたんだ?」

「いやあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

昌紀はいきなり頭を抱え、絶叫し出す。

「「「「「「「昌紀?!」」」」」」」

「…や、やめて…痛い…痛いよぉぉ…。お願い…さびしいよぉ…ひとりに…独りにしないで…。」

昌紀は泣きながら、言葉を紡いでいく。

そして、グラッと体が傾いていく。

それと同時に屋根からすごい音がする。

そして、そこから誰かが入ってきて、昌紀の体を抱きかかえる。

「鎖響、手に入れたぞ。」

「「「「「「「元佳、鎖響!!」」」」」」」

そこにいたのは、元佳だった。

そして、屋根の上には鎖響が何かを唱えていた。

「貴様ら、昌紀を放せ!!」

「断る。我らは、昂然様の命により安部 昌浩を連れて帰らねばならないからな。」

………。

その言葉に驚愕してしまう。

「何を言っているんだ…そいつは昌浩なんかじゃない!!」

「ふっ、安部 世明も十二神将もおちたものだな…。」

「元佳、そんな奴らには付き合ってられないから行くぞ。」

「ああ。」

そう言って、元佳と鎖響は行ってしまった。

昌紀を連れて…。

そして、驚愕の言葉を残して…。

 

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PARALLELⅡ