「鎖響、元佳よ。安部 昌浩の生まれ変わりを連れてこい。」
「はっ。しかしながら、同じ顔が2人おります。」
そう。
鎖響と元佳は、昌浩を見たことがないのでわからなかった。
「そうか。なら、鎖響の力を使えばよい。お前の力は、過去などを利用するものだ。」
「さすが、昂然様。かしこまりました。必ず、安部 昌浩を連れてきましょう。」
昂然たちがそんな話をしてるとは、ちっとも知らずに昌紀たちは、ご飯を皆で食べていた。
「浩紀。」
「何ですか、じい様。」
「今日の夜警はわしも行くことにする。」
世明のいきなりの提案に驚く。
「どうしてですか?」
「やな予感がするんじゃ…。今、十二神将たちに町の様子を見に行ってもらっておる。」
「気をつけろよ、浩紀。」
「わかってるよ、哉央兄さん。」
そんな話をしている時だった…。
ドーン!!!
家全体が大きく揺れる。
「何だ?」
隠形していた、十二神将たちが一斉に顕現する。
「世明様、大丈夫ですか?」
「ああ。…結界が壊れたみたいじゃ。」
そんな中、1人だけ立って上を見ていた。
「昌紀、どうしたんだ?」
「いやあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
昌紀はいきなり頭を抱え、絶叫し出す。
「「「「「「「昌紀?!」」」」」」」
「…や、やめて…痛い…痛いよぉぉ…。お願い…さびしいよぉ…ひとりに…独りにしないで…。」
昌紀は泣きながら、言葉を紡いでいく。
そして、グラッと体が傾いていく。
それと同時に屋根からすごい音がする。
そして、そこから誰かが入ってきて、昌紀の体を抱きかかえる。
「鎖響、手に入れたぞ。」
「「「「「「「元佳、鎖響!!」」」」」」」
そこにいたのは、元佳だった。
そして、屋根の上には鎖響が何かを唱えていた。
「貴様ら、昌紀を放せ!!」
「断る。我らは、昂然様の命により安部 昌浩を連れて帰らねばならないからな。」
………。
その言葉に驚愕してしまう。
「何を言っているんだ…そいつは昌浩なんかじゃない!!」
「ふっ、安部 世明も十二神将もおちたものだな…。」
「元佳、そんな奴らには付き合ってられないから行くぞ。」
「ああ。」
そう言って、元佳と鎖響は行ってしまった。
昌紀を連れて…。
そして、驚愕の言葉を残して…。
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