『悲しき運命を打ち破れ』弐拾嗣

「…こ、壊れた…。」

「昌紀、どうしたんだ?」

勾陣は本を読んでいたのに、いきなり固まった昌紀に驚く。

しかし、昌紀は自分の考えにふけっていた。

決死の戦いであいつを封印した時の事を今でも、すぐに思い出すことができた…。

 

 

 

「ごめん…こんなことしかできなくて…。もっと、みんなと一緒にいたかったよ…。」

俺はそう言って、泣きながら皆の顔を見るんだ。

そして、あいつを封印するんだ。

…俺の命を使って……。

紅蓮たち十二神将は、俺を止めようと必死に言うんだ。

「やめろ!」って…。

それでも、俺はやめなかった。

だって、守りたいものがあったから。

皆と別れることになるのは、とても悲しかったけど、俺の力では倒すことができなかったから…。

封印することしかできなかったんだ…。

でも封印しても、いつかその封印はもろくなって、壊れてしまう。

だから、俺がまた生まれた。

昌浩だった…昌紀が。

壊れてしまった封印は2度と戻らない…。

俺は、力をさらにつけ舞い戻ってきた。

さぁ…決着をつけよう。

…昂然!!

 

 

 

予定より早まってしまったけど…。

昌紀は、決意したように真剣な顔で言う。

「勾陣、今から言う事は絶対に誰にも言わないでね…。」

勾陣も昌紀の雰囲気が変わったことで、気を引き締め答える。

「わかった。」

「…あいつ、昂然の事を覚えてる?」

「!!!…まさか、封印がとけたのか?!」

「うん。今さっき、とけたみたい…。でも、まだ力はちゃんと戻ってないと思うんだ。だから、早いうちに、公然を倒す。次の満月までに倒さないと、大変なことになると思うから、準備とかあるから明後日には行こうと思う。」

「わかった。私の力もお前にたくそう。」

「ありがとう。」

勾陣の言葉は嬉しかった。

だけど、これ以上巻き込むわけにはいかなかった。

これは、俺…昌浩だった昌紀の戦いだから…。

 

NEXT…弐拾伍

BACK…弐拾参

PARALLELⅡ