「…こ、壊れた…。」
「昌紀、どうしたんだ?」
勾陣は本を読んでいたのに、いきなり固まった昌紀に驚く。
しかし、昌紀は自分の考えにふけっていた。
決死の戦いであいつを封印した時の事を今でも、すぐに思い出すことができた…。
「ごめん…こんなことしかできなくて…。もっと、みんなと一緒にいたかったよ…。」
俺はそう言って、泣きながら皆の顔を見るんだ。
そして、あいつを封印するんだ。
…俺の命を使って……。
紅蓮たち十二神将は、俺を止めようと必死に言うんだ。
「やめろ!」って…。
それでも、俺はやめなかった。
だって、守りたいものがあったから。
皆と別れることになるのは、とても悲しかったけど、俺の力では倒すことができなかったから…。
封印することしかできなかったんだ…。
でも封印しても、いつかその封印はもろくなって、壊れてしまう。
だから、俺がまた生まれた。
昌浩だった…昌紀が。
壊れてしまった封印は2度と戻らない…。
俺は、力をさらにつけ舞い戻ってきた。
さぁ…決着をつけよう。
…昂然!!
予定より早まってしまったけど…。
昌紀は、決意したように真剣な顔で言う。
「勾陣、今から言う事は絶対に誰にも言わないでね…。」
勾陣も昌紀の雰囲気が変わったことで、気を引き締め答える。
「わかった。」
「…あいつ、昂然の事を覚えてる?」
「!!!…まさか、封印がとけたのか?!」
「うん。今さっき、とけたみたい…。でも、まだ力はちゃんと戻ってないと思うんだ。だから、早いうちに、公然を倒す。次の満月までに倒さないと、大変なことになると思うから、準備とかあるから明後日には行こうと思う。」
「わかった。私の力もお前にたくそう。」
「ありがとう。」
勾陣の言葉は嬉しかった。
だけど、これ以上巻き込むわけにはいかなかった。
これは、俺…昌浩だった昌紀の戦いだから…。
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