「クロス、俺はお前たち化け物を絶対に許さない!!」
レジオンが大きな声で宣言すると、アレンの気配が動く。
「うっ…ん…。僕…あれ?」
「アレン、大丈夫か?!」
目覚めたアレンに対し、ラビはほっとしながら尋ねる。
「はい…大丈夫です。それより、これどうなってるんですか?」
アレンは現状が把握できずに、尋ねてしまう。
それもどのはず。
いきなり光に襲われ、意識を失い、目覚めてみるとコムイだけでなく、アレンの師匠であるクロスまで食堂にいるのだ。
クロスはめったに食堂には出てこない。
自分の部屋に女を呼び、酒を飲んでほとんどの時間を過ごすのだ。
しかし、アレンの質問に答えることなく、クロスは素朴な質問をする。
「アレン。お前は…女なのか?」
「えっ?」
アレンは師匠に尋ねられて、初めて自分の姿が戻っていることに気づく。
そう。
アレンは、正真正銘女なのだ。
もちろん、生まれた時から。
普段、男の姿をしているのはイノセンスの力によってだ。
…これはマナとの約束だった。
しかし、今回はそれがあだとなってしまったのだ。
イノセンスが直につながっている寄生型で、さらに力をずっと使っていたために、このような結果になってしまったのだ。
「黙ってないで答えろ、馬鹿弟子。」
短気なクロスは、イラついてもう1度尋ねる。
「…はい。僕は…女です。マナと約束したので…」
「アレン君?!」
「アレン?!」
クロスは淡々としていたが、コムイとラビは驚いていた。
アレンは、今までそんな素振りは全く見せなかったのだ。
2人の反応こそ、ここでは普通だろう。
「分かってます。僕があまりに女らしくなくて、呆れてるんですよね…。全然可愛くないし、スタイルだって悪いし…。」
その言葉に、どうして男の振りをさせたのかが、案にわかってしまった。
アレンの無自覚さゆえだろう。
アレンの顔は傷はあるが、そんなこと関係なくとても可愛い。とういうか、綺麗だ。
そして、そのスタイルは誰もがうらやむもので、胸は大きく、腰や足などはとても細い。
これで気付かない方が、なぜ?と思ってしまう。
3人が同じこと思っていると、レジオンがいきなり聞いてくる。
「女でもエクソシストになれるのか?」
「あなたは…さっきの…。」
「そんな体で何ができるって言うんだ?!なら、誰だってなれるじゃないか!!」
レジオンはいきなり錯乱し出す。
「…あいつが…言ってたから。あいつが、エクソシストは化け物だって…。エクソシストのせいでセレナが死んだって…。」
レジオンの様子に、アレンはつい心配してしまう。
…悲しい
…苦しい眼をしていたからだ。
「…大丈夫ですか?」
「何、お人よしなこと言ってんだ…馬鹿弟子。」
「だって…なんだかつらそうに見えるから…。」
アレンは、まるで自分の事のように痛そうに言う。
「…心が壊れそうな……。」
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