『SECRETLY LOVE』Ⅳ

 

「クロス、俺はお前たち化け物を絶対に許さない!!」

レジオンが大きな声で宣言すると、アレンの気配が動く。

「うっ…ん…。僕…あれ?」

「アレン、大丈夫か?!」

目覚めたアレンに対し、ラビはほっとしながら尋ねる。

「はい…大丈夫です。それより、これどうなってるんですか?」

アレンは現状が把握できずに、尋ねてしまう。

それもどのはず。

いきなり光に襲われ、意識を失い、目覚めてみるとコムイだけでなく、アレンの師匠であるクロスまで食堂にいるのだ。

クロスはめったに食堂には出てこない。

自分の部屋に女を呼び、酒を飲んでほとんどの時間を過ごすのだ。

しかし、アレンの質問に答えることなく、クロスは素朴な質問をする。

「アレン。お前は…女なのか?」

「えっ?」

アレンは師匠に尋ねられて、初めて自分の姿が戻っていることに気づく。

そう。

アレンは、正真正銘女なのだ。

もちろん、生まれた時から。

普段、男の姿をしているのはイノセンスの力によってだ。

…これはマナとの約束だった。

しかし、今回はそれがあだとなってしまったのだ。

イノセンスが直につながっている寄生型で、さらに力をずっと使っていたために、このような結果になってしまったのだ。

「黙ってないで答えろ、馬鹿弟子。」

短気なクロスは、イラついてもう1度尋ねる。

「…はい。僕は…女です。マナと約束したので…」

「アレン君?!」

「アレン?!」

クロスは淡々としていたが、コムイとラビは驚いていた。

アレンは、今までそんな素振りは全く見せなかったのだ。

2人の反応こそ、ここでは普通だろう。

「分かってます。僕があまりに女らしくなくて、呆れてるんですよね…。全然可愛くないし、スタイルだって悪いし…。」

その言葉に、どうして男の振りをさせたのかが、案にわかってしまった。

アレンの無自覚さゆえだろう。

アレンの顔は傷はあるが、そんなこと関係なくとても可愛い。とういうか、綺麗だ。

そして、そのスタイルは誰もがうらやむもので、胸は大きく、腰や足などはとても細い。

これで気付かない方が、なぜ?と思ってしまう。

3人が同じこと思っていると、レジオンがいきなり聞いてくる。

「女でもエクソシストになれるのか?」

「あなたは…さっきの…。」

「そんな体で何ができるって言うんだ?!なら、誰だってなれるじゃないか!!」

レジオンはいきなり錯乱し出す。

「…あいつが…言ってたから。あいつが、エクソシストは化け物だって…。エクソシストのせいでセレナが死んだって…。」

レジオンの様子に、アレンはつい心配してしまう。

…悲しい

…苦しい眼をしていたからだ。

「…大丈夫ですか?」

「何、お人よしなこと言ってんだ…馬鹿弟子。」

「だって…なんだかつらそうに見えるから…。」

アレンは、まるで自分の事のように痛そうに言う。

「…心が壊れそうな……。」

 

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IFⅢ