『SECRETLY LOVE』Ⅲ

クロスとこの男が出会ったのは、まだエクソシストになっていなかった頃だ。

その頃、クロスは科学者をしていた。

そして、この男も同じ科学者だったのだ。

この男の名はレジオン・トルセント。

裕福な家庭に生まれた、いわゆる坊ちゃんだった。

しかし、両親の経営の失敗で没落し、貧乏な生活を送ることになった。

レジオンにとってはお金などどうでもいいものであった。

研究が大好きで、研究さえできれば他は何も要らなかった。

だから、毎日研究に明け暮れていた。

そんなときに出会ったのが、最愛の人セレナだった。

彼女は小さなパン屋の娘で、とても優しく可愛らしい人だった。

たまたま、そのパン屋に他の仲間から頼まれた昼食を買いに行ったのだが、彼女を見た瞬間恋に落ちていた。

いわゆる一目ぼれだ。

何度もそのパン屋に通った。

しかし今まで、恋などに興味を持ったこともなかったレジオンだったので、どのようにして近づけばいいかわからなかったし、話もあまりできなかった。

それでも、レジオンはセレナの事が好きだった。

…研究よりも。

あきらめずに、何度も何度もパン屋に通い、結ばれ、結婚した。

しかし、その幸せは長くは続かなかった。

最愛の人セレナが死んだからだ。

…何も残らずに。

体も骨も髪の毛さえも、全てが灰となって消えていった。

そう。

悪魔に殺されたのだ。

エクソシストは、それを見ながら笑っていた。

俺の大事なセレナが殺されたというのに…。

許せなかった。

守れなかった自分が。

でも、

もっと憎かったのはエクソシスト。

セレナをおとりにし、戦い、勝利したからだ。

悪魔から守るために、エクソシストはいるんじゃないのか?

なのに、エクソシストはセレナを見捨てた。

許せない…。

憎い…。

憎い…憎い…。

憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い。

だから、復讐してやることにした。

エクソシストに…。

無知なあいつらに…。

彼女と同じ思いを味あわせるために…。

「ハハハッハハハハハッハハハハハッハハハハハハハハッ!!!!!」

レジオンは、狂ったように笑い出す。

その心は、闇にとらわれる。

そう。

…あいつに。

 

NEXT…Ⅳ

BACK…Ⅱ

IFⅢ