クロスとこの男が出会ったのは、まだエクソシストになっていなかった頃だ。
その頃、クロスは科学者をしていた。
そして、この男も同じ科学者だったのだ。
この男の名はレジオン・トルセント。
裕福な家庭に生まれた、いわゆる坊ちゃんだった。
しかし、両親の経営の失敗で没落し、貧乏な生活を送ることになった。
レジオンにとってはお金などどうでもいいものであった。
研究が大好きで、研究さえできれば他は何も要らなかった。
だから、毎日研究に明け暮れていた。
そんなときに出会ったのが、最愛の人セレナだった。
彼女は小さなパン屋の娘で、とても優しく可愛らしい人だった。
たまたま、そのパン屋に他の仲間から頼まれた昼食を買いに行ったのだが、彼女を見た瞬間恋に落ちていた。
いわゆる一目ぼれだ。
何度もそのパン屋に通った。
しかし今まで、恋などに興味を持ったこともなかったレジオンだったので、どのようにして近づけばいいかわからなかったし、話もあまりできなかった。
それでも、レジオンはセレナの事が好きだった。
…研究よりも。
あきらめずに、何度も何度もパン屋に通い、結ばれ、結婚した。
しかし、その幸せは長くは続かなかった。
最愛の人セレナが死んだからだ。
…何も残らずに。
体も骨も髪の毛さえも、全てが灰となって消えていった。
そう。
悪魔に殺されたのだ。
エクソシストは、それを見ながら笑っていた。
俺の大事なセレナが殺されたというのに…。
許せなかった。
守れなかった自分が。
でも、
もっと憎かったのはエクソシスト。
セレナをおとりにし、戦い、勝利したからだ。
悪魔から守るために、エクソシストはいるんじゃないのか?
なのに、エクソシストはセレナを見捨てた。
許せない…。
憎い…。
憎い…憎い…。
憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い。
だから、復讐してやることにした。
エクソシストに…。
無知なあいつらに…。
彼女と同じ思いを味あわせるために…。
「ハハハッハハハハハッハハハハハッハハハハハハハハッ!!!!!」
レジオンは、狂ったように笑い出す。
その心は、闇にとらわれる。
そう。
…あいつに。
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