『LONELY THE GENIUS』Ⅶ

 

 

今回の地区予選大会には、唯一の1年生レギュラーがいた。

そのレギュラーは、青学のつわものたちを倒し、見事レギュラーになったのだ。

そして、今日がレギュラーになって、初めての試合の日だった。

そして、地区予選から都大会に出場できるのは、優勝チームと準優勝チームだけだ。

その中に入らなければ、全国大会への夢は断たれるのだ。

 

もうすぐ、玉林中との試合が始まる。

その準備のために、青学のレギュラーたちは集まり、竜崎からオーダーの発表を待っていた。

「皆、落ち着いて行きな!!じゃあ、オーダーを発表するよ。

 ダブルスNO.2 桃城・越前

 ダブルスNO.1 大石・菊丸

 シングルスNO.3 海堂

 シングルスNO.2 河村

 シングルスNO.1 不二。」

竜崎の言った、オーダーに驚く。

「えっ?!桃と越前がダブルス?!」

それは、唯一の1年生レギュラーである越前 リョーマが桃城とダブルスで出場するからだ。

リョーマの性格は唯我独尊を突っ切るので、本当にダブルスができるか心配になってしまう。

「ああ。あたしも最後まで、どうしようかと悩んだんだけどねぇ~。やってみてはどうかと思ったんだ。それに、本人たちもやる気があるみたいだし。」

「そうなんですか…。」

 

 

 

「…5試合中3勝した方が勝ち進めます。なお、この試合は青学が初戦のため、5試合全て行います。試合は1セットマッチです。では、ただいまより、青春学園中等部対玉林中学の試合を始めます。両者、ダブルス2は前へ。」

最後の言葉に、リョーマと桃城はコートに入る。

そして、すぐに試合が始まる。

「ザ・ベスト・オブ・1セットマッチ玉林サービスプレイ!!」

審判の声に合わせ、周りの応援は一層と盛り上がる。

ダブルスができそうにないと思っていた越前が、うまく動いていた。

青学のレギュラー陣は、少し驚いてしまう。

周りが思っているリョーマ像がそれだけ、自己中心的だったからだ。

「乾。すごいね、越前君。」

「そうだな。不二はこの試合どう見る?」

「彼、この試合を支配しているね。」

「ああ。桃城が動きやすいようにしているのは、越前だ。」

「えっ、そうなの?!」

2人で話していると、いきなり菊丸が入ってくる。

「越前は相手の嫌な所をつきながら、桃の打ちやすいようにゲームをつくっているんだ。」

「うん。僕たちが思っていた以上に、彼は強いのかもしれない。」

「おちびって、そんなにすごかったんだ…。」

菊丸は乾と不二のほめように感嘆してしまう。

「でも越前の汗、すごくないか?」

と、話しかけてきたのは大石だった。

大石は菊丸と次の試合のアップに行っていたようだが、菊丸が置いて行ったらしい。

「そうだね。3人はそんなことないのに…。」

そんなことを話しているうちに、試合はあっという間に終わってしまう。

結果はもちろん圧勝。

皆、その結果に驚いていた。

青学陣は、リョーマがダブルスをできたことに。

玉林陣は、青学の1年レギュラーが強かったことに。

両者では、全然驚いていることが違っているが、共通していることはリョーマの強さだった。

「越前、その汗大丈夫か?」

「大丈夫っすよ、桃先輩。」

「でも…。」

「越前、汗で体を冷やすなよ。」

「うぃーす、大石先輩。」

 

他の試合も玉林に圧勝し、青学は次へと駒を進めた。

 

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PARALLELⅣ