今回の地区予選大会には、唯一の1年生レギュラーがいた。
そのレギュラーは、青学のつわものたちを倒し、見事レギュラーになったのだ。
そして、今日がレギュラーになって、初めての試合の日だった。
そして、地区予選から都大会に出場できるのは、優勝チームと準優勝チームだけだ。
その中に入らなければ、全国大会への夢は断たれるのだ。
もうすぐ、玉林中との試合が始まる。
その準備のために、青学のレギュラーたちは集まり、竜崎からオーダーの発表を待っていた。
「皆、落ち着いて行きな!!じゃあ、オーダーを発表するよ。
ダブルスNO.2 桃城・越前
ダブルスNO.1 大石・菊丸
シングルスNO.3 海堂
シングルスNO.2 河村
シングルスNO.1 不二。」
竜崎の言った、オーダーに驚く。
「えっ?!桃と越前がダブルス?!」
それは、唯一の1年生レギュラーである越前 リョーマが桃城とダブルスで出場するからだ。
リョーマの性格は唯我独尊を突っ切るので、本当にダブルスができるか心配になってしまう。
「ああ。あたしも最後まで、どうしようかと悩んだんだけどねぇ~。やってみてはどうかと思ったんだ。それに、本人たちもやる気があるみたいだし。」
「そうなんですか…。」
「…5試合中3勝した方が勝ち進めます。なお、この試合は青学が初戦のため、5試合全て行います。試合は1セットマッチです。では、ただいまより、青春学園中等部対玉林中学の試合を始めます。両者、ダブルス2は前へ。」
最後の言葉に、リョーマと桃城はコートに入る。
そして、すぐに試合が始まる。
「ザ・ベスト・オブ・1セットマッチ玉林サービスプレイ!!」
審判の声に合わせ、周りの応援は一層と盛り上がる。
ダブルスができそうにないと思っていた越前が、うまく動いていた。
青学のレギュラー陣は、少し驚いてしまう。
周りが思っているリョーマ像がそれだけ、自己中心的だったからだ。
「乾。すごいね、越前君。」
「そうだな。不二はこの試合どう見る?」
「彼、この試合を支配しているね。」
「ああ。桃城が動きやすいようにしているのは、越前だ。」
「えっ、そうなの?!」
2人で話していると、いきなり菊丸が入ってくる。
「越前は相手の嫌な所をつきながら、桃の打ちやすいようにゲームをつくっているんだ。」
「うん。僕たちが思っていた以上に、彼は強いのかもしれない。」
「おちびって、そんなにすごかったんだ…。」
菊丸は乾と不二のほめように感嘆してしまう。
「でも越前の汗、すごくないか?」
と、話しかけてきたのは大石だった。
大石は菊丸と次の試合のアップに行っていたようだが、菊丸が置いて行ったらしい。
「そうだね。3人はそんなことないのに…。」
そんなことを話しているうちに、試合はあっという間に終わってしまう。
結果はもちろん圧勝。
皆、その結果に驚いていた。
青学陣は、リョーマがダブルスをできたことに。
玉林陣は、青学の1年レギュラーが強かったことに。
両者では、全然驚いていることが違っているが、共通していることはリョーマの強さだった。
「越前、その汗大丈夫か?」
「大丈夫っすよ、桃先輩。」
「でも…。」
「越前、汗で体を冷やすなよ。」
「うぃーす、大石先輩。」
他の試合も玉林に圧勝し、青学は次へと駒を進めた。
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