リョーマの処分はグラウンド50周。
そして、元木は退部した。
あれだけ恥をかき、リョーマを怪我させたのだ。
2度と部活には出れないだろう。
そして、部員にはリョーマの実力が広まった。
『弘法は筆を選ばず』と…。
青学のテニス部には面白い特徴があった。
それは、『校内ランキング戦』
校内ランキング戦とは毎月行うもので、2・3年生全員を4ブロックに分けてリーグ戦をし、その各ブロックの上位2名の計8名がレギュラーとして、各種大会への切符を手にする戦いである。
しかし、今回はかつてない空気に包まれていた。
ある者の参加によって…。
「男テニ、今日からランキング戦なんでしょ?」
「本当?見に行かなくちゃ!」
「そういえば、今回は仮入部の1年が1人出てるらしいよ。」
「まさかぁ。」
スパーン。
「また決まった!!」
「ゲームセット・ウォンバイ越前6-0!!」
その声に、周りは騒然とする。
それもそのはず。
仮入部の1年が、汗をひとつもかかず2連勝したのだ。
しかし、リョーマはそれを気にせず、すたすたを歩いてコートを出る。
「お疲れ様!!すごかったよ、リョーマ君。」
「お腹すいた…。」
「昼食の後にレギュラーの海堂先輩と試合して終わりだって。」
ホワイトボードの前に座っている大石に試合結果を告げると、ご飯を食べに行った。
リョーマはもくもくとご飯を食べながら、雑誌を見ていた。
そこには男子プロの1人ゲイル・ストレウスの特集が組んでいた。
「リョーマ君!!」
そう言いながら、駆けこんできたのはカチローだった。
「お前、その目どうしたんだよ?!」
カチローの左目にはボールの跡がくっきり残っていた。
「ちょっと頑張りすぎちゃって…。それよりも、これを見て!次に当たる、海堂先輩をとってきたんだ。」
「マジ?!見よ、見よ!!」
しかし、リョーマはじっと雑誌を見ていた。
「ゲイル…。」
「リョーマ君、せっかくとったのに見ないの?」
「別に、いらない。じゃあ、アップ行ってくるから。」
そう言って、リョーマはラケットを持って部室を出ていく。
日本に来る前の場所を思い浮かべながら…。
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