体育祭も大詰め。
ついに最後の競技、騎馬戦が始まる。
騎馬戦は、学年関係なく紅組、ピンク組、蒼組、水色組、白組全てが一気に戦う。
ルールは簡単で、相手の頭に巻いた鉢巻をとった数のポイントが多い方が勝ちだ。
得点は兵が10点、大将が100点だ。
大将の鉢巻がとられたり、馬から人が落ちたりすれば、強制的に負けになってしまうので、たいていは大将は動かない。
これは、どれだけチームで協力できるかが、勝敗の鍵だ。
「皆、落ち着いていこうな。これに勝てば、まだ優勝できるから悔いの残らないようにしよう!」
昌紀が話しだした瞬間、紅組の陣地が静かになる。
そして、昌紀の声に合わせて、皆が答える。
「「「「「「「おう!!」」」」」」
昌紀は騎馬戦の要、大将なのだ。
他の兵役の人たちは、紅組なので紅の鉢巻をつけているが、昌紀たち大将は金色の鉢巻をつけている。
これは、他のと区別をするためだ。
先生がステージの上にあがり、ピストルを上に掲げる。
「行くぞ!!」
と言った瞬間、バン!とピストルが鳴る。
一斉に兵役の人たちが走り出す。
白組以外は白組を狙い、白組は蒼組を狙った。
それは、白組がトップで蒼組が2位だからだ。
昌紀たち紅組は3位なので、上の組が負けない限りれ狙われない。
やはり、白組が1番に負けた。
大将の鉢巻をとったのはピンク組、ビリのチームだ。
昌紀たちは、4騎と一緒に自軍の陣地に残っていた。
「燈湖、俺たちも参加しよう。」
「マジかよ?!リスクが高過ぎる。」
「何言ってんの。逃げてたって、何も始まらない。俺たちは、勝負に出て勝つんだ!!皆はどうする?」
その言葉に、皆が答える。
「そうだよな。こんなんで勝っても、嬉しくないし。行こうぜ!」
「ああ、行こう!!」
「他の奴らを驚かしてやろうぜ!」
昌紀の言葉に、皆が是を答える。
これは昌紀の事を信じているから、皆が賛成した。
昌紀の日ごろの行いと人柄のおかげだ。
「出陣!!!」
一斉に戦いが起こっているところに向かって走っていく。
「なんだあいつら…。」
「紅組の大将が、攻めてきた!!」
皆が昌紀たちの行動に驚嘆した。
それほどあり得ないのだ。
大将が激戦区に入っていくなど、負けるつもりなのかと紅組以外は思う。
しかし、生徒会の人間や昌紀と中の良い人間はそうは思っていなかった。
昌紀は絶対に有言実行する。
その大胆な行動やカリスマ性は人を引き付け、畏怖さえも感じる。
紅組の大将たちに気を取られているうちに、ピンク組がやられた。
残りは3組。
紅組は分散して、大将を狙う。
そして、昌紀も自分から大将を狙いに行く。
「あと一息だ、頑張れ!!」
すると、残った蒼組みと水色組が昌紀を狙って走ってくる。
紅組は体制を整え、迎え撃つ。
しかし、昌紀の馬役の1人がこけて、態勢を崩してしまう。
「昌紀!!」
このまま落ちれば、負けてしまうだけでなく、昌紀が大けがをしてしまう。
「落ちるなよ!」
と言って、燈湖は昌紀を投げる。
それに合わせて、昌紀は他の馬に乗り移り、どんどん鉢巻を奪っていく。
これは騎馬が近かったので、できたことだった。
周りはあまりのすごさに、目を奪われてしまう。
燈湖たち昌紀の馬は、態勢を直す。
それを見た昌紀は、燈湖たちのもとにもどり、大きな声で叫ぶ。
「今がチャンスだ!一気に行くぞ!!」
その声に合わせ、次々に鉢巻を奪っていった。
蒼組は紅組の兵が鉢巻をとり、水色組は逃げまどうあまりにこけてしまった。
こうして、紅組が完全勝利した。
また、今日の出来事は昌紀の伝説の1つに加えられ、しばらくその話題でもちきりだった…。 NEXT…弐拾参 BACK…弐拾壱