「あれ?!もう着替えたのか?」
「当たり前だろっ。いつまでも、あんな格好してらんないよ。」
そう言う昌紀は、もう普通の体操服に戻っている。
「次の出番って何?」
「燈湖は俺と一緒だから、色別対抗リレーだろ。」
「そっか。だいぶ時間が開くな。」
「しょうがないよ。」
「次はプログラム11番色別対抗リレーです。」
アナウンスの声が聞こえ、一斉に代表選手が運動場に入っていく。
「昌紀、この点差やばいな。」
「ああ。あと得点が大きいのって、これと騎馬戦だけだからな。」
「絶対、1位になろうぜ!!」
「ああ!」
「位置について。よ~い、ドン!!」
その合図に一斉に第1走者がスタートする。
紅組はスタートダッシュが少し遅れた。
「いけ、紅組!!」
「追い抜け、蒼組!」
素晴らしい勝負を繰り広げている。
お互いに譲らず、全力で駆けている。
そして第2走者に渡り、第3走者に渡る。
紅組は依然として遅れている。
「燈湖、頑張れ!!」
燈湖は2年の中でもかなり足が速いが、かなり差が広がっているので、縮まってはいるが抜けない。
そして、最後の走者にバトンが渡る。
「悪ぃ、昌紀頼んだ。」
「頼まれた。」
昌紀にバトンが渡った瞬間、すごい歓声がわきあがる。
紅組は4位だったが、次々に抜いていく。
そして、ゴール直前のストレートで、やっとトップをとらえる。
「絶対に勝つ…。」
小声で言うと、一気にスピードを上げる。
「抜け、昌紀!!」
パッ。
ゴールテープを切り、今トップの人がゴールした。
しかし、紅組と白組が同じくらいにゴールしたので、結果を皆が今か今かと待っている。
そして、その後に続き水色、ピンク、蒼とゴールしていった。
「ただいまの結果を発表します。」
そのアナウンスの声に、周りが一斉に静かになる。
「1位…紅組。2位…白組。3位水色。4位ピンク。5位蒼でした。」
一気に紅組が盛り上がる。
「お疲れ、昌紀。」
「燈湖もお疲れ。」
「白組が2位…。追いつけなかったな。」
「ああ。でも、騎馬戦の配点はかなり高いからな。大丈夫だよ。」
「そうだな。」
自軍紅組のテントで浩紀ともっくんも昌紀のリレーを見ていた。
「昌紀、すごかったね。」
「あんなの周りが遅かっただけだ。」
「もっくん…少しは認めてくれてもいいのに…。」
NEXT…弐拾壱
BACK…壱拾仇