『悲しき運命を打ち破れ』弐拾

「あれ?!もう着替えたのか?」

「当たり前だろっ。いつまでも、あんな格好してらんないよ。」

そう言う昌紀は、もう普通の体操服に戻っている。

「次の出番って何?」

「燈湖は俺と一緒だから、色別対抗リレーだろ。」

「そっか。だいぶ時間が開くな。」

「しょうがないよ。」

 

 

 

「次はプログラム11番色別対抗リレーです。」

アナウンスの声が聞こえ、一斉に代表選手が運動場に入っていく。

「昌紀、この点差やばいな。」

「ああ。あと得点が大きいのって、これと騎馬戦だけだからな。」

「絶対、1位になろうぜ!!」

「ああ!」

 

「位置について。よ~い、ドン!!」

その合図に一斉に第1走者がスタートする。

紅組はスタートダッシュが少し遅れた。

「いけ、紅組!!」

「追い抜け、蒼組!」

素晴らしい勝負を繰り広げている。

お互いに譲らず、全力で駆けている。

そして第2走者に渡り、第3走者に渡る。

紅組は依然として遅れている。

「燈湖、頑張れ!!」

燈湖は2年の中でもかなり足が速いが、かなり差が広がっているので、縮まってはいるが抜けない。

そして、最後の走者にバトンが渡る。

「悪ぃ、昌紀頼んだ。」

「頼まれた。」

昌紀にバトンが渡った瞬間、すごい歓声がわきあがる。

紅組は4位だったが、次々に抜いていく。

そして、ゴール直前のストレートで、やっとトップをとらえる。

「絶対に勝つ…。」

小声で言うと、一気にスピードを上げる。

「抜け、昌紀!!」

パッ。

ゴールテープを切り、今トップの人がゴールした。

しかし、紅組と白組が同じくらいにゴールしたので、結果を皆が今か今かと待っている。

そして、その後に続き水色、ピンク、蒼とゴールしていった。

「ただいまの結果を発表します。」

そのアナウンスの声に、周りが一斉に静かになる。

「1位…紅組。2位…白組。3位水色。4位ピンク。5位蒼でした。」

一気に紅組が盛り上がる。

「お疲れ、昌紀。」

「燈湖もお疲れ。」

「白組が2位…。追いつけなかったな。」

「ああ。でも、騎馬戦の配点はかなり高いからな。大丈夫だよ。」

「そうだな。」

 

自軍紅組のテントで浩紀ともっくんも昌紀のリレーを見ていた。

「昌紀、すごかったね。」

「あんなの周りが遅かっただけだ。」

「もっくん…少しは認めてくれてもいいのに…。」

 

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PARALLELⅡ