『THE CHAMPION』Ⅳ

「なあ、なんであんなちびが王者立海のレギュラーに混じってんだ?」

「どうせ雑用係だろ?」

「そっか。ていうか、あんな奴がレギュラーだったら、俺たちの事なめてるよな。」

「ああ。それだったら、俺たちだってレギュラーになれるしな。」

そんな声が、あちらこちらから聞こえていた。

 

 

 

立海大テニス部は今、地区予選大会に出場するため、会場に来ていた。

そんな中、レギュラー陣はとてもイラついていた。

というより、怒っていた。

とくに怒っていたのは、もちろん幸村 精市。

立海大テニス部の部長である。

そんな幸村に話をかけるという、つわもの…馬鹿はもちろんいなかった。

…例外はいるが。

「幸村部長、他の人たちどうしたんですか?」

「リョーマが気にすることじゃないよ。きっと、緊張しているんだ。」

そんな先輩たちじゃないのに…と思いながら

「そうなんすか…。」

幸村達、レギュラーが起こっていた理由は、もちろん可愛い後輩リョーマの事である。

リョーマはその可愛さから、レギュラーの皆から大事にされていてた。

幸村をはじめとする、堅物の真田さえリョーマの事を溺愛しているのだ。

まぁ、本人は気付いていないが…。

そんなリョーマが、さっきっから悪口を言われているのだ。

レギュラーたちが怒らないはずがない。

「なぁリョーマ、なんで怒ってないんだよ?だってお前の事、言われてるんだぜ。」

赤也が不思議でしょうがないように言う。

そんな赤也にまるで興味がないかのように

「めんどくさいだけっす。」

「はっ?!」

「言いたい奴には、言わせとけばいいじゃないっすか。」

「ああ、そうだ。後で痛い目を見るのは、あいつらだからな。」

「プリッ。あいつらのあたふたする顔が、目に浮かぶぜよ。」

「そうですね。」

リョーマの言葉に皆、是と答える。

そう。

リョーマの実力は、誰が何と言おうが本物だ。

部内では、真田に次ぐぐらいの実力だ。

その小さな体や可愛さに侮っていると、必ず痛い目を見る。

リョーマは口元に笑みを浮かべて

「先輩たち、今日の試合、暴れさせてもらいますね。」

と言った。

 

その言葉は実現となり、初の公式試合で完全勝利を収めたのだ。

そして、それを見た人たちは、リョーマの見解を見直したのだった。

 

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