『悲しき運命を打ち破れ』壱拾漆

「……わかったか、昌紀。」

「は、はい。」

予想以上に、燈湖の説教は長かった。

朝のSHRを無視し、1時間目のさえも、先生に注意されても、逆切れして押し通した。

そして、2時間目前の休み時間で、やっと終わった…。

「本当に…ごめんな。」

「わかったんだったら、もういい。」

「燈湖、大好き!!ありがとう!」

「そういえば、体育祭の種目、勝手に決まったぞ。」

「えっ?!マジかよ。それで、何になった?」

「えっと…騎馬戦と色別リレー…。」

意外に少なかったが、まだ何かあるんだろう…。

それを今聞いとかないと、後で痛い目に会うのは自分だ。

「そっか。…でも、まだ何かあるんだろう?」

「…さすが、昌紀。」

「当たり前だろ。お前とは、ずっと親友をやってるんだから。」

「応援合戦でな、お前たち生徒会のメンバーは、女子は男装で、男子が女装してやるんだ…。」

「…は?」

燈湖が言っている意味がよくわからなかった。

「…女装?」

「そうだよ。お前は、応援合戦の時に女装するんだ。」

「なんで?そんなこと決まってなかったよな?」

思い起こしてみても、そんなことは思い出せない。

「ああ。なんか、校長が面白そうだって、言ってきたらしいよ。」

「でも、なんで生徒会のメンバーだけなんだよ。」

「それは、美男美女が集まってるからだろ。」

「どこが?俺は美男なんかじゃないよ。」

またかよ…。

この無自覚をどうにかしてくれ…。

お前が美男じゃなかったら、誰もびなんじゃないから。

「何、ブツブツ言ってんだよ。」

「別に。明後日の体育祭楽しみだな。」

「俺はさっきのを聞いて、やる気をなくしたよ。」

「大丈夫だって。楽しんでいこうぜ。めったにできることじゃないし。」

めったにできることじゃない?

「ていうか、したくないから!!」

 

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PARALLELⅡ