『悲しき運命を打ち破れ』壱拾碌

もぐ、もぐ。

じぃーーー。

「……。」

本当に、さっきから何なんだ?

もっくんが俺をじっと見てくる。

…というか、睨まれてる。

いつもだったら、俺の事なんか見たくないって、絶対こっちなんて見ないのに…。

でも、俺は見えないことになってるから、何も言えないしなぁ~。

すっごい、食べにくい。

「昌紀、もう大丈夫なのか?」

と、いきなり浩紀が話しかけてくる。

今、入ってきたようだ。

しかし、浩紀がこんなに朝早いのは珍しい。

いつもは、昌紀が行った後に起きだすほど、寝坊をしょっちゅうする。

「ああ、迷惑かけたな。」

「そんなこと別にいいよ。昌紀が元気になってよかった…。」

!!!

浩紀にそんなことを言われて、昌紀は驚いた。

浩紀は、俺の事嫌いじゃなかったのか?

そう思ってが、それは言葉にならず

「悪い。」

と言って、御飯を食べ終わって、学校に行った。

しかし、それは単なる照れ隠し。

気付かれないようにするために…。

ばれないようにするために…。

なれ合ってはいけない。

ぼろが出てしまうかもしれないから。

「行ってきます。」

そう言って、玄関を出る。

今日はきっと、皆にいろいろ言われるだろうが、仕方ない。

とりあえず、燈湖の説教を長々と聞くか…。

 

NEXT…壱拾漆

BACK…壱拾伍

PARALLELⅡ