それは、朝の出来事だった…。
「世明、私はこれから昌紀につこうと思う。」
「それはどういうことだ、勾!!」
勾陣の発言にもっくんが怒鳴る。
「別に、どういうこともない。ただ、昌紀も浩紀や彩子や紹子近くにいるから、危ないって思ってな。」
「昌浩である浩紀を見捨てるのか?!」
「そんなことは言っていない。浩紀も大事だが、昌紀も大事だからな。何かあってからでは遅い。」
「昌紀には見えんぞ。」
と世明が静かに言う。
「わかっている。そう言うということは、是と思っていいのだな。」
「かまわんよ。あの子もわしの孫に変わりはないからのう。」
「そうか。では、今日から昌紀につくので、世明の事を頼む。」
青龍はそこにいたが、眉をひそめるだけで何も言わなかった。
そこに太陰と玄武が顕現する。
「ちょっと、勾陣。本当にあの昌紀につくの?!」
「ああ。今、言っていた通りだ。」
「我は、あの子につく意味を感じないが?」
「別に、私の考えを皆に押さえつけることはしないさ。」
「そうか。まあ、勾陣の事だ。何か考えがあるのだろう。それに、あの子は無理をしすぎる。」
「あの子ではなくて、昌紀だ…玄武。」
「勾陣、本当にどうしたの?昌紀と何かあったの?」
「何もない。ただ、昌紀についているのも面白いかなと思っただけだ。」
「勝手にしろ!!」
静かに聞いていたもっくんは、勾陣の言葉にキレ、怒鳴って浩紀の所に向かって行った。
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