『悲しき運命を打ち破れ』壱拾伍

それは、朝の出来事だった…。

 

「世明、私はこれから昌紀につこうと思う。」

「それはどういうことだ、勾!!」

勾陣の発言にもっくんが怒鳴る。

「別に、どういうこともない。ただ、昌紀も浩紀や彩子や紹子近くにいるから、危ないって思ってな。」

「昌浩である浩紀を見捨てるのか?!」

「そんなことは言っていない。浩紀も大事だが、昌紀も大事だからな。何かあってからでは遅い。」

「昌紀には見えんぞ。」

と世明が静かに言う。

「わかっている。そう言うということは、是と思っていいのだな。」

「かまわんよ。あの子もわしの孫に変わりはないからのう。」

「そうか。では、今日から昌紀につくので、世明の事を頼む。」

青龍はそこにいたが、眉をひそめるだけで何も言わなかった。

そこに太陰と玄武が顕現する。

「ちょっと、勾陣。本当にあの昌紀につくの?!」

「ああ。今、言っていた通りだ。」

「我は、あの子につく意味を感じないが?」

「別に、私の考えを皆に押さえつけることはしないさ。」

「そうか。まあ、勾陣の事だ。何か考えがあるのだろう。それに、あの子は無理をしすぎる。」

「あの子ではなくて、昌紀だ…玄武。」

「勾陣、本当にどうしたの?昌紀と何かあったの?」

「何もない。ただ、昌紀についているのも面白いかなと思っただけだ。」

「勝手にしろ!!」

静かに聞いていたもっくんは、勾陣の言葉にキレ、怒鳴って浩紀の所に向かって行った。

 

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PARALLELⅡ