『KING OF TENNIS』Ⅰ

「なあ、なあ、跡部。」

「なんだよ、岳人。」

うっとうしそうに答える。

「めっちゃうまい子が入るって本当なのか?!」

なんで知ってんだよ…。

誰にも言ってないはずなのに、なんで岳人が知ってんだ?

まあ、いいか。

「ああ。あの榊先生が、直々に頼みに行ったらしいぜ。」

「マジかよ。ありえねぇ…。」

声に合わせて、苦虫をつぶしたような嫌な顔をする。

「部長。新入部員、皆集まってます。」

「わかった。今、行く。」

 

「俺様が氷帝テニス部男子部長、跡部 景吾だ。ここのテニス部は、実力主義だ。弱い奴は一生、レギュラーにはなれねぇ。」

「ってことは、強かったらすぐにレギュラーになれるってことっすよね?」

と、いきなり新入部員の方から声が聞こえる。

「ああ。お前、いい度胸してんじゃねえか。気にいった。名前は?」

「越前 リョーマ。」

それを聞いて、驚いてしまう。

それは、跡部が考えていた越前像が全然違うからだ…。

体は小さく、顔はくっきりとした、アーモンドアイ。何とも言えない、可愛らしい顔をしている。

「俺の顔に、なんかついてますか?」

ずっと跡部が黙ったままなので、不審に思って声をかける。

「いや。おい、日吉。こいつと、今から戦え。」

「なんで、1年となんかと戦わなくちゃいけないですか?!」

「あぁ?俺様の言うことがきけないのか?!」

日吉の反論に跡部はキレる。

その反応に、しょうがないなと思い

「いえ、別に。」

と言う。

そうして、2人は1番近いコートに入っていく。

「越前、お前の力、見せてもらうぜ…。」

 

 

 

試合は、あっという間に終わった。

結果は6-0で、越前の圧勝。

日吉は汗がだくだくで、息もかなり乱れているが、越前は汗も全然かいていないし、息も乱れてなかった。

「強いじゃねぇか…。」

「あの子、来るんちゃうか?」

忍足の言葉に皆、同意してしまう。

どう考えても、越前のレベルは、すでにレギュラーのレベルまで達しているから…。

「越前はレギュラー。日吉は、最初っからやり直しとけ。各自、メニューをこなしとけ。」

「「「「「「はい。」」」」」」

リョーマは、個性が強そうなテニス部だなぁ~と思いながら、自分の練習に取り組み始めた。

 

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