キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。
チャイムが…。
リョーマは今、非常に困っていた。
なぜかというと、いつの間にか動けない状況にあるからだ。
それも、入ったばかりの部活の先輩によって…。
先輩…芥川 慈郎がリョーマを抱きしめて寝ていた。
といっても、リョーマが先に屋上に来て、昼寝をしていたのだが…。
「芥川先輩、起きて下さい。チャイム、鳴りましたよ。」
そう言いながら、芥川をゆする。
「う~ん。…リョーマ、おはよう。」
「おはようございます。それより、離して下さい。」
「嫌だCー。俺、リョーマの事気にいったもん。慈郎って呼んでよ。」
そう言って、一層強く抱きしめる。
「別にいいっすけど…授業始まってますよ?」
「そんなのどうでもいいから、ここで昼寝しよ。」
「そうっすね。」
リョーマもはっきり言って、それほど真面目じゃないので、別にかまわなかった。
しかし後で、この選択を後悔することになるとは、思いもしなかった。
「じゃあ、満場一致でいいですね?」
前に立っていた学級委員の言葉に、皆が賛成をして拍手を送る。
「ということで、Mr.Princess&Ms.Princeには、越前君と田岡さんに出場してもらいます。よろしくお願いします。」
クラスはとても盛りあっがっていた。
今度の学校行事の事を考えて…。
次に起きたのは、もう全ての授業が終わっているころだった。
仕方がないので、芥川を起こし、部活に向かう。
レギュラー専用の部室で着替えていると、向日が話しかけてくる。
「そういえばリョーマ、Mr.Princess&Ms.Princeに出るんだって?」
「えっ?何なんっすかそれ。」
「えっ?!リョーマ、知らないの?」
「うっす。午後の授業でてないんで。」
そう言うと、向日は驚いて目を大きく見開く。
「お前、大丈夫なのか?」
向日はリ心配するが、リョーマが再び爆弾を落とす。
「屋上で、慈郎先輩を寝てただけっすよ。」
「…リョーマ、なんで慈郎のこと下の名前で呼んでんだよ。」
「慈郎先輩に言われたから。」
「なあ、だったら俺の事も岳人って呼んでくれよ。」
なぜそうなるのかがわからなかったが、別にいいかと思い答える。
「別にいいっすけど。それより、Mr.Princess&Ms.Princeってなんなんっすか?」
「ああ…そうだったな。この行事は名前の通り、男は女装して女は男装して、誰が1番かを競うんだ。顔を売ることも含めてな。」
向日が説明するが、頭に入らない。
「……えっ。俺、女装しなくちゃいけないっすか?なんでそんなことしなくちゃいけないんっすか?!」
「クラスで、選ばれたからだろう。まっ、頑張れよな。」
しかし、すでに向日の言葉はリョーマには届いてなかった。
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