『KING OF TENNIS』Ⅱ

キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。

チャイムが…。

リョーマは今、非常に困っていた。

なぜかというと、いつの間にか動けない状況にあるからだ。

それも、入ったばかりの部活の先輩によって…。

先輩…芥川 慈郎がリョーマを抱きしめて寝ていた。

といっても、リョーマが先に屋上に来て、昼寝をしていたのだが…。

「芥川先輩、起きて下さい。チャイム、鳴りましたよ。」

そう言いながら、芥川をゆする。

「う~ん。…リョーマ、おはよう。」

「おはようございます。それより、離して下さい。」

「嫌だCー。俺、リョーマの事気にいったもん。慈郎って呼んでよ。」

そう言って、一層強く抱きしめる。

「別にいいっすけど…授業始まってますよ?」

「そんなのどうでもいいから、ここで昼寝しよ。」

「そうっすね。」

リョーマもはっきり言って、それほど真面目じゃないので、別にかまわなかった。

しかし後で、この選択を後悔することになるとは、思いもしなかった。

 

 

 

「じゃあ、満場一致でいいですね?」

前に立っていた学級委員の言葉に、皆が賛成をして拍手を送る。

「ということで、Mr.Princess&Ms.Princeには、越前君と田岡さんに出場してもらいます。よろしくお願いします。」

クラスはとても盛りあっがっていた。

今度の学校行事の事を考えて…。

 

 

 

次に起きたのは、もう全ての授業が終わっているころだった。

仕方がないので、芥川を起こし、部活に向かう。

レギュラー専用の部室で着替えていると、向日が話しかけてくる。

「そういえばリョーマ、Mr.Princess&Ms.Princeに出るんだって?」

「えっ?何なんっすかそれ。」

「えっ?!リョーマ、知らないの?」

「うっす。午後の授業でてないんで。」

そう言うと、向日は驚いて目を大きく見開く。

「お前、大丈夫なのか?」

向日はリ心配するが、リョーマが再び爆弾を落とす。

「屋上で、慈郎先輩を寝てただけっすよ。」

「…リョーマ、なんで慈郎のこと下の名前で呼んでんだよ。」

「慈郎先輩に言われたから。」

「なあ、だったら俺の事も岳人って呼んでくれよ。」

なぜそうなるのかがわからなかったが、別にいいかと思い答える。

「別にいいっすけど。それより、Mr.Princess&Ms.Princeってなんなんっすか?」

「ああ…そうだったな。この行事は名前の通り、男は女装して女は男装して、誰が1番かを競うんだ。顔を売ることも含めてな。」

向日が説明するが、頭に入らない。

「……えっ。俺、女装しなくちゃいけないっすか?なんでそんなことしなくちゃいけないんっすか?!」

「クラスで、選ばれたからだろう。まっ、頑張れよな。」

しかし、すでに向日の言葉はリョーマには届いてなかった。

 

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