「ごめん!!悪いけど、先生に呼ばれてるから先行っててくれる?!」
「別にいいけど。」
「テニスコートはあっちだから!!」
と言って、指で方向を指していくと、急いで走って行った。
森岡とは、同じテニス部ということで、すぐに打ち解けた。
あまり愛想のよいリョーマではないが、森岡は気にしていないらしく、次々に話をかけてくる。
リョーマも森岡の部活の話に早くテニスがやりたいと、はりきっていた。
「こっちか…。」
校舎の角を曲ると、そこにはたくさんのテニスコートが並んでいる。
ちょうど、テニスコートの前の入口に、先輩らしき人がいるので声をかける。
「すいません。テニス部に入りたいんすけど…。」
「悪いけど、もう新入部員は締め切ってるから。残念だけど、帰れ。」
と冷たく返される。
「そんなこと言われても、困るっス。」
「うるさいなぁ~。お前、つぶすよ。」
「何をしているんだい?」
声をかけてきたのは、職員室まで案内してもらった1人、幸村だった。真田も横にいた。
「幸村部長、こいつが部活に入りたいとか言ってくるんっすよ!私服で来て、俺たちの事舐めてますよ!!」
「制服が届いてないんだから、しょうがないじゃん。今日から、学校に通い始めたんです。」
「えっ?!」
と聞いてなかった事実に驚く。
しかし、幸村と真田は知っていたので、話を進めていく。
「それなら、しょうがないね。真田、リョーマを入れてもかまわないだろう?」
「ああ。仕方ないだろう。」
「良かった。」
と言って、満面の笑みで笑う。
今までの無表情がウソみたいだ。
「越前 リョーマっス。よろしくお願いします。」
そう言って、1ヶ月遅れの新入部員が入ったのだった。
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