『THE CHAMPION』Ⅱ

「ごめん!!悪いけど、先生に呼ばれてるから先行っててくれる?!」

「別にいいけど。」

「テニスコートはあっちだから!!」

と言って、指で方向を指していくと、急いで走って行った。

森岡とは、同じテニス部ということで、すぐに打ち解けた。

あまり愛想のよいリョーマではないが、森岡は気にしていないらしく、次々に話をかけてくる。

リョーマも森岡の部活の話に早くテニスがやりたいと、はりきっていた。

「こっちか…。」

校舎の角を曲ると、そこにはたくさんのテニスコートが並んでいる。

ちょうど、テニスコートの前の入口に、先輩らしき人がいるので声をかける。

「すいません。テニス部に入りたいんすけど…。」

「悪いけど、もう新入部員は締め切ってるから。残念だけど、帰れ。」

と冷たく返される。

「そんなこと言われても、困るっス。」

「うるさいなぁ~。お前、つぶすよ。」

「何をしているんだい?」

声をかけてきたのは、職員室まで案内してもらった1人、幸村だった。真田も横にいた。

「幸村部長、こいつが部活に入りたいとか言ってくるんっすよ!私服で来て、俺たちの事舐めてますよ!!」

「制服が届いてないんだから、しょうがないじゃん。今日から、学校に通い始めたんです。」

「えっ?!」

と聞いてなかった事実に驚く。

しかし、幸村と真田は知っていたので、話を進めていく。

「それなら、しょうがないね。真田、リョーマを入れてもかまわないだろう?」

「ああ。仕方ないだろう。」

「良かった。」

と言って、満面の笑みで笑う。

今までの無表情がウソみたいだ。

「越前 リョーマっス。よろしくお願いします。」

そう言って、1ヶ月遅れの新入部員が入ったのだった。

 

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