「大丈夫か?昌紀。」
来るはずの攻撃が来ないなと思っていたら、女性の声が聞こえる。
顔の前に構えていた腕をのけ、目の前を見てみると、そこには十二神将が1人勾陣がいた…。
「…な…んで…。」
「お前の様子がおかしいと思い、部屋に行ったら、ご丁寧に式だけがあったからな…。だからお前を追いかけてきたんだ。」
「今度こそ、死ねえぇぇ!!」
「勾陣、危ない!!オン!」
真言を唱え、襲いかかってきた敵を牽制する。
「はぁ、はぁ、はぁ…。」
「昌紀、大丈夫か?!」
「へ、平気…。今度こそ…。臨める兵闘うもの、皆陣列れて前に在り!!」
しかし、昌紀の攻撃は寸前のところでよけられる。
「元佳、一度ひくぞ。十二神将がいては我らが不利だ。」
「…わかった。覚えていろ…小童、それに十二神将!!」
そう言って、鎖響と元佳は去っていく。
それを見届けると、勾陣はしゃがみこんだ昌紀の方に向く。
「これは、どういうことなんだ?…昌紀。」
「…お願い…皆には…言わないで…。」
そう言うと、昌紀の体は崩れていく。
「昌紀!!」
昌紀はさっきの戦闘で疲れたみたいだ。
熱が下がってもないのに、無理したから当たり前だ。
勾陣は昌紀を抱え、家に向かって行く。
「昌紀…お前は、何者なんだ…?」
霊力を持っていなかった赤子が、今では浩紀と同じくらい。それ以上に霊力を持っている。
また、陰陽師の力の使い方など教えてないはずなのに、使っている。
そして、今まで見えてなかったはずの私を見て、話をし、名も教えてないのに知っている。
わからないことがたくさんあった。
しかし、答えられる唯一の者の意識は闇の中にあった…。
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