式を用意して、家から離れよう…。
とりあえず、形代に呪詛を移そう。
形代というのは、人型の紙に自分を写し、自分と同じものとして扱う紙の事。
形代は、昌浩であった時も幾度となく危機を救った。
今回も形代に呪詛を移し、万全の態勢で戦う気だ。
「どこのどいつか知らないが、俺はここでやられるわけにはいかないんだ…。みんな…いってきます。」
そう言うと、いつも夜警に行くように、自分の部屋の窓から外に出ていく。
おそらく、敵は近くにいるだろう。
しかし、家の近くで戦えば、皆に気付かれてしまう。
だから、誘導して戦うことにした。
「おい、どこかに隠れてるんだろ?俺は逃げも隠れもしない。でも、ここは狭くて派手に戦えないかえら、ついてこい。」
そういうと、上空から神将の姿に似た、2人の男が現れる。
「いいだろう。その誘いに乗ってやるぞ。」
「お前は、憎き安部 世明の孫だな。」
「孫言うな!俺は安部 昌紀だ!!」
「昌浩の生まれ変わりではない方か…。」
「そんなので、我らに勝てると思うのか。愚かな…。」
「…うるさい。黙れ!お前には関係のないことだ。」
「人間風情が我らにずいぶんな口のきき方をする…。」
「殺してやろう、鎖響。」
「ああ、元佳。」
「来いよ、妖怪。」
ついた場所は、学校の近くの公園。
結界をはり、周りに何も漏れないようにする。
これで、ばれないだろう。
大丈夫。まだ熱は高いが、俺には負けられない理由がある…。
皆を守るという…。
あいつを今度こそ倒すという…。
「行くぞ、小童!!」
「縛縛縛、不動戒縛、神勅降臨!」
敵の動きを止めようと、2人を拘束する。
「何っ?!霊力が上がっていくだと!!」
「貴様、何者だ?!この膨大な霊力、只者ではないな!!」
「黙れ!時間が惜しい…。」
「離せ、小童!!」
鎖響と元佳を一瞥すると、真言が響き渡った。
「ナウマクサンマンダバサラダン、センダマカロシャダソワタヤウン、タラタカンマン!」
2人の体に傷をつける。
「くっ…。」
「終わりだ。…臨める兵闘うもの、皆陣や…。」
グラッ。
「はぁ、はぁ、はぁ…。」
体が…動かない。
視界が揺らぐ。
「うっ…。」
バン!!
昌紀が崩れた間に、鎖響と元佳は不動戒縛を壊した。
「愚かな…去ね!!」
元佳は手から斬撃を出し、昌紀に向かって撃つ。
「はぁ、はぁ、はぁ…。」
……紅蓮…。
ドオオォォォン!!!
NEXT…壱拾参
BACK…壱拾壱