お前のすべてを見せろ…。
すべてさらけ出してしまえ。
悲しみも…
憎しみも…
絶望も…。
「嫌だ…。やめて…!嫌だああぁぁぁぁぁ!!!」
「はぁ、はぁ、はぁ。また、嫌な夢…。」
今日の夢は嫌にリアルだ。
これは、何か俺に告げているのか?
陰陽師の見る夢には意味があるという。
これでも昌紀は、小さい頃は霊力が全くなかった。しかし、今は昌浩だった記憶を思い出し、霊力も昌浩の時より格段に上がっている。
そう。昌紀も陰陽師なのだ。
「熱があるからかな?」
体が弱ってるときは、心も弱る。
最近、嫌な夢を見たのはそのせいかもしれない。
「とりあえず、皆に謝らないと…。いっぱい迷惑をかけちゃった。」
そう思い、部屋を後にした。
階段を下りていくと、いつもではありえない女の子の声が聞こえる。
熱が高すぎて、おかしくなっちゃったかなぁ~?と思いつつ、リビングの扉を開ける。
ガチャ。
「母さん、父さ…えっ?なんで…双子の…藤原さんがいるの?」
「昌紀!!まだ、無理しちゃいけないでしょ。」
「すいません。でも、俺の事は大丈夫です。自己管理不足です。ご迷惑をおかけしてすいませんでした。」
「何言ってるんだ。昌紀は私たちの子供なんだから、そんなこと考えなくていいんだよ。」
「ありがとうござ…「お前のすべてを見せろ!」
頭の中に声が響く…。
夢の中と同じ声、同じ言葉。
心の中が暗い感情で支配される…。
「…すいません。まだ、調子が悪いみたいです。ありがとうございました。お先に失礼します。あっ、こんな時間に藤原さんたちがいるということは、この家に泊まると思うのですが、俺にはかかわらないで下さい。では…。」
「昌紀くん!!…。」
離れなくちゃ…。
心が闇に支配される前に。
この呪詛をかけている奴を倒さなければ…。
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