『悲しき運命を打ち破れ』壱拾壱

お前のすべてを見せろ…。

すべてさらけ出してしまえ。

悲しみも…

憎しみも…

絶望も…。

「嫌だ…。やめて…!嫌だああぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ。また、嫌な夢…。」

今日の夢は嫌にリアルだ。

これは、何か俺に告げているのか?

陰陽師の見る夢には意味があるという。

これでも昌紀は、小さい頃は霊力が全くなかった。しかし、今は昌浩だった記憶を思い出し、霊力も昌浩の時より格段に上がっている。

そう。昌紀も陰陽師なのだ。

「熱があるからかな?」

体が弱ってるときは、心も弱る。

最近、嫌な夢を見たのはそのせいかもしれない。

「とりあえず、皆に謝らないと…。いっぱい迷惑をかけちゃった。」

そう思い、部屋を後にした。

階段を下りていくと、いつもではありえない女の子の声が聞こえる。

熱が高すぎて、おかしくなっちゃったかなぁ~?と思いつつ、リビングの扉を開ける。

ガチャ。

「母さん、父さ…えっ?なんで…双子の…藤原さんがいるの?」

「昌紀!!まだ、無理しちゃいけないでしょ。」

「すいません。でも、俺の事は大丈夫です。自己管理不足です。ご迷惑をおかけしてすいませんでした。」

「何言ってるんだ。昌紀は私たちの子供なんだから、そんなこと考えなくていいんだよ。」

「ありがとうござ…「お前のすべてを見せろ!」

頭の中に声が響く…。

夢の中と同じ声、同じ言葉。

心の中が暗い感情で支配される…。

「…すいません。まだ、調子が悪いみたいです。ありがとうございました。お先に失礼します。あっ、こんな時間に藤原さんたちがいるということは、この家に泊まると思うのですが、俺にはかかわらないで下さい。では…。」

「昌紀くん!!…。」

離れなくちゃ…。

心が闇に支配される前に。

この呪詛をかけている奴を倒さなければ…。

 

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PARALLELⅡ