「…それは、どういう意味ですか?」
「どういう意味もありません。もっくんも出てきたらどうかしら?」
と常人には見えないもっくんの方を見ながら言う。
「ま、まさか、彰子なのか?」
「そうよ。もっくん、久しぶりね。元気だった?!」
「ああ…。彰子は?」
驚きで声がかすれてしまう。
「今は彩子よ。間違えないで。」
「すまん。」
「本当に驚きです。似ているからもしやと思ったんですが、本当に彰子様だったとは…。」
「彰子様って?」
昌浩という名前が出てきたことに驚いていたが、意味のわからない浩紀が聞く。
「彰子って言うのは、昌浩の大切な人だ。」
「俺の?」
「俺のっていうことは、あなたが昌浩なの?」
「ああ。俺が昌浩の生まれ変わりだ。」
「昌浩…。」
安部家を上空から見下ろしている不審な影が2つあった。
「餌はここか。」
「ああ。だが、強い結界はってある。どうする?」
「…弱った魂が結界の中にいる。それを利用しよう。」
「それはいい考えだ。」
「我が力を使えば、簡単なことだ。」
「では、鎖響まかしたぞ。」
「ああ。」
NEXT…壱拾壱
BACK…仇