『悲しき運命を打ち破れ』拾

「…それは、どういう意味ですか?」

「どういう意味もありません。もっくんも出てきたらどうかしら?」

と常人には見えないもっくんの方を見ながら言う。

「ま、まさか、彰子なのか?」

「そうよ。もっくん、久しぶりね。元気だった?!」

「ああ…。彰子は?」

驚きで声がかすれてしまう。

「今は彩子よ。間違えないで。」

「すまん。」

「本当に驚きです。似ているからもしやと思ったんですが、本当に彰子様だったとは…。」

「彰子様って?」

昌浩という名前が出てきたことに驚いていたが、意味のわからない浩紀が聞く。

「彰子って言うのは、昌浩の大切な人だ。」

「俺の?」

「俺のっていうことは、あなたが昌浩なの?」

「ああ。俺が昌浩の生まれ変わりだ。」

「昌浩…。」

 

 

 

安部家を上空から見下ろしている不審な影が2つあった。

「餌はここか。」

「ああ。だが、強い結界はってある。どうする?」

「…弱った魂が結界の中にいる。それを利用しよう。」

「それはいい考えだ。」

「我が力を使えば、簡単なことだ。」

「では、鎖響まかしたぞ。」

「ああ。」

 

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PARALLELⅡ