「今日からお世話になります。藤原 彩子です。」
「同じく紹子です。」
「…どういうこと?」
2人の言っていることが理解できずに戸惑う浩紀。
じい様が紹介したい人がいると言ったかと思うと、2人の髪の長さだけが違う同じ顔の女の子が部屋に入って来た。
それが、まさかファンクラブができるほど人気がある、双子の藤原だなんて思いもしなかった。
「「よろしくお願いします。」」
「知っていると思いますが、もう1人浩紀の双子の兄がおります。」
「安部 昌紀君ですね。」
「ほっ、ほっ、ほっ。そんなに有名なのですかな?」
「はい。安部…昌紀君は生徒会長をやっていて、大きなファンクラブもあるほどなんです。」
「それに頭も良くて、優しくて、かっこいいんです!!」
「あさぎ中の人で、昌紀君の知らない人なんて」いませんよ。」
「そうなのですか。あの子はあまり自分の事を話さないので、また聞かせて下さい。」
「「はいっ。」」
「それよりじい様、なんで双子の藤原さんがうちに住むことになってるんですか?!」
と3人の会話を遮るように言う。
「相変わらず落ち着きがないのう。全く、客がおるというのに…。それもこれも、じい様の育て方が悪かったばかりに…。」
「すいませんでした…。」
とさっさと説教が終わるように、先に謝る。
「じい様、それぐらいにして話を進めましょう。浩紀はいきなりこんな可愛い子が2人も同居することになって、驚いているんですよ。」
哉央が浩紀をフォローするように言う。
「まあよいわ。お2人は、じい様の古くからの知り合いに頼まれてお預かりすることになったのじゃ。」
「何かあったのですか?」
「お2人が何かの妖怪に狙われてるらしいのじゃ。浩紀、お2人をお守りしなさい。」
「はい、わかりました。」
「あの…それで昌紀君はどうしたんですか?」
「それが高い熱を出して、倒れてしまったんですよ。」
「えっ?!大丈夫なんですか?」
「御心配はいりませんよ。ちょっとむりをしすぎたんです。」
「そんな大変な時にすいません。」
「いえいえ、構いませんよ。」
と優しく笑む。
「あの…ひとつ聞きたいことがあるんですが…いいですか?」
「なんですか彩子様。」
「どちらが昌浩なんですか?」
NEXT…拾
BACK…捌