『悲しき運命を打ち破れ』捌

「お前なんか、生まれて来なければ良かったんだ!」

「忌子がこの子に近づくな!」

「気持ち悪い!!死んでしまえ。」

…て。

やめてっ…。

お願いだから、嫌いにならないで!!

 

 

 

「「…き。昌紀、大丈夫か?!」」

「…哉央兄さん?…昌央兄さん?」

とかすれた声で言う。

なんでここに、哉央兄さんと昌央兄さんがいるのだろう。

「そうだ。お前が学校で倒れていたと聞いて、急いで迎えに来たんだ。」

それを聞いた瞬間、迷惑をかけてしまったと罪悪感が胸をよぎる。

「…ごめんな…さい…。」

「昌紀が無事でよかった。」

「さぁ、とりあえず家に帰ろう。母さんも父さんも心配しているよ。」

「母さんと父さんが?」

「ああ。朝にお前が来てないって、学校から電話があったらしい。俺や昌央のところにも知らないか電話してきたんだ。」

「昌紀、あんまり無理しないで。」

「…は…い。」

「よい。まだ熱があるからおんぶしてやろう。」

「いいです、平気ですから。自分で歩けます。」

「だめだ。お前はすぐ無理をするからな。」

「そうですよ、昌紀。こういう時ぐらい、甘えなさい。」

「…お願いします。」

「ああ。」

 

 

 

がちゃ。

「ただいま帰りました。母さん、昌紀を連れて帰ってきましたよ。」

と玄関に入ると声をかける。

するとすぐに義昌と梅雨紀が走って来る。

「哉央、昌央、昌紀は大丈夫か?!」

「今は、眠っています。でも、まだかなり熱が高いみたいです。」

「そうか…。」

それを聞いて、一安心する。

梅雨紀から連絡をもらった時は、心臓が止まるかと思ったほどだ。

「2人ともありがとう。とりあえず、昌紀を部屋までいいかしら?寝かさないと、休めないわ。」

「わかりました。」

 

NEXT…仇

BACK…漆

PARALLELⅡ