「お前なんか、生まれて来なければ良かったんだ!」
「忌子がこの子に近づくな!」
「気持ち悪い!!死んでしまえ。」
…て。
やめてっ…。
お願いだから、嫌いにならないで!!
「「…き。昌紀、大丈夫か?!」」
「…哉央兄さん?…昌央兄さん?」
とかすれた声で言う。
なんでここに、哉央兄さんと昌央兄さんがいるのだろう。
「そうだ。お前が学校で倒れていたと聞いて、急いで迎えに来たんだ。」
それを聞いた瞬間、迷惑をかけてしまったと罪悪感が胸をよぎる。
「…ごめんな…さい…。」
「昌紀が無事でよかった。」
「さぁ、とりあえず家に帰ろう。母さんも父さんも心配しているよ。」
「母さんと父さんが?」
「ああ。朝にお前が来てないって、学校から電話があったらしい。俺や昌央のところにも知らないか電話してきたんだ。」
「昌紀、あんまり無理しないで。」
「…は…い。」
「よい。まだ熱があるからおんぶしてやろう。」
「いいです、平気ですから。自分で歩けます。」
「だめだ。お前はすぐ無理をするからな。」
「そうですよ、昌紀。こういう時ぐらい、甘えなさい。」
「…お願いします。」
「ああ。」
がちゃ。
「ただいま帰りました。母さん、昌紀を連れて帰ってきましたよ。」
と玄関に入ると声をかける。
するとすぐに義昌と梅雨紀が走って来る。
「哉央、昌央、昌紀は大丈夫か?!」
「今は、眠っています。でも、まだかなり熱が高いみたいです。」
「そうか…。」
それを聞いて、一安心する。
梅雨紀から連絡をもらった時は、心臓が止まるかと思ったほどだ。
「2人ともありがとう。とりあえず、昌紀を部屋までいいかしら?寝かさないと、休めないわ。」
「わかりました。」
NEXT…仇
BACK…漆