『DEAR THE CHILD』Ⅲ

「ねぇ、こんなところで何してるの?」

声をかけてきたほうを見るが、見覚えがない子だった。

ピンクの髪をしていて、死覇装を着ていた。

「誰?」

「私はやちる!いっちー、よろしくね。」

「いっちーって、俺の事?」

「そうだよ。いや?」

「うんん、嬉しい!俺、一護だよ。よろしくね!!」

 それが、やちるとの出会いだった…。

 

 

「いっちー!」

「やちる?」

そこにいたのはピンクの髪をした女の子。

彼女は見た目子供に見えるが、れっきとした死神で、血の気の多い11番隊の副隊長をしている。

こないだからたまに遊んでいる。

一護もやちるも、瀞霊廷内の中で唯一の同年代なので、嬉しいらしい。<本当は、やちるの方がかなり年上だが…>

「剣ちゃんにね、いっちーの事紹介したいの。」

「剣ちゃん?」

「そうだよ。私のこと流魂街で拾って、育ててくれた人なの。」

「その人の事大好きなんだね。」

声を聞いただけでも、剣ちゃんという人の事が特別なのだとわかる。

「うん!!剣ちゃんは、私の世界なの。」

「そっか…。俺、会ってもいいの?」

「もちろん!いっちーに会って欲しいの。」

その言葉が嬉しい。

それは、俺を信じてくれているということなのだから…。

「行こう、いっちー!!」

「うん!!」

 

 

 

やちるについていくと、11番隊舎が見えてくる。

「ここって、11番隊舎?」

「そうだよ。剣ちゃんは、11番隊の隊長をしてるの。」

「すごいんだね。」

「うん!とっても優しくて、かっこいいの。」

そう言って、11番隊舎の中に入って進んでいく。

隊首室の前に着くと、おもいっきり扉を開いて、中にいる男の1人に飛びつく。

「剣ちゃん!!いっちー、連れてきたよ。」

そこにいたのは、尖がった髪の先に鈴をつけた、片目に眼帯をしている男と、スキンヘッドの男と、おかっぱに変なものがついた男がいた。

「お前が一護か…。」

「うん!黒崎 一護だよ。」

「ふっ。良い眼をしてるな、一護。気に入った。たまに遊びに来いよ。」

「うん、ありがとう。で、こっちの2人は?」

残りの2人を指して言う。

「こっちは、一角と弓親だ。」

「よろしくな、一護!!」

「よろしく、一護。」

「よろしく!!」

 

それから度々、11番隊舎で一護を見かけるようになった。

 

NEXT…EPILOGUE

BACK…Ⅱ

IFⅤ