『DEAR THE CHILD』Ⅱ

いきなり現れた小さな死神は太陽のようだった…。

 

 

 

「あっ、狛村さん!」

「おお、一護か。」

「うん。今お使い中なの。狛村さんは何してんの?」

「私は、9番隊に行くところだ。」

「東仙さんのとこ?」

「ああ。」

 

この小さなオレンジの死神との出会いはいきなりのものだった。

それは先日の事。臨時の隊首会で紹介されたのが一護だった。

一護は、10番隊隊長の日番谷 冬獅郎の事がお気に入りらしく、たいていの時間をそこで過ごしている。

一護と狛村が話をしたのはつい先日で、自分の隊舎で東仙と話をしているときだった…。

 

「あ、危ない!よけて!!」

そう言って、上から降ってきたのはオレンジの髪をした子供だった。

ドン!!!

「大丈夫かい?」

「ご、ごめんなさい!!急いでたら、すべっちゃって…。」

「かまわないが、屋根の上を走ったら危ないだろう。」

「はい…。」

一護はシュンとうなだれる。

「まあまあ狛村、反省しているようだしそのぐらいでいいじゃないか。」

「うわぁ、ワンちゃんだ!!」

一護を見てみると、目をキラキラさせて狛村の顔を凝視している。

「狛村、笠が取れている。」

そう言っている間に、一護は狛村の足もとに行って抱きしめる。

「ねぇ、さっきまでなんで隠してたの?!」

「私が怖くないのか?」

驚きお隠せずに聞く。

人間というものは、普通自分と違うものを恐れるものだ。子供なんて、この顔を見たら泣くか恐れるかするし、大人でも口には出さないにしても、遠まわしに拒否をする。

「なんで?!だって、とってもかっこいいじゃん!!」

「かっこいい?」

「うん!ヒーローみたいでかっこいいよ。それに、さっきだって俺の事を心配して怒ってくれたんでしょ?そんな優しい人が怖いはずなんてないよ。」

「この子は本当のお前を見抜けているんだ。いい子だな。」

「ああ…。」

 

その日から一護が来るようになり、その時は笠をのけて素顔を出している。

 

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