『DEAR THE CHILD』EPILOGUE

ダッダッダッ!

ドン!

扉を思いっきり開く。

急がなければいけないから…。

遅ければ、遅いくなるほど、あの子が危険にさらされるから…。

「はぁ、はぁ、はぁ。…11番隊9席、東雲 鷹臣(しののめ たかおみ)です!隊首会中にすいません。」

そう言って、隊首会中の1番隊舎に入る。

「11番隊が何用じゃ。」

途中で入ってきた奴を威圧しながら、山本総隊長が問う。

「い、一護くんに…11番隊の皆が、攻撃を…!!」

「…なんだと?!」

初めに我に返ったのは、剣八。

「おい、どういうことだ?」

「一護くんが4番隊の人がいじめられてるのを見て、止めようとしたんです。そしたら、皆がキレちゃって、俺1人じゃ止められないんです…。助けて下さい!!」

「俺なら、大丈夫だよ。」

声が聞こえた方向を見てみると、入口の所に一護がいた。

「一護くん?」

「剣八、ごめん。…みんな、倒しちゃった。てへっ。」

舌の先を出しながら、可愛らしく言う。

その姿に、皆目を奪われる。

「別にいい。お前は、怪我はねぇか?」

「うん!大丈夫。それより、あいつら本当に、護廷最強の11番隊なの?」

「一応そうだぜ。」

「あいつら弱すぎ!!最強の名が廃るよ!」

「一護、お前に比べたら、誰でもそうじゃよ。」

「隊長!!迎えに来ました!一緒に帰りましょう?」

そう言って、山本総隊長の後ろから出てきたのは、見たことのない隊員。

「「「「「「「「「「「「「…隊長?!」」」」」」」」」」」」」

「あの…そこの君、隊長って誰の事を言ってるんだい?」

と京楽が聞く。

「黒崎隊長の事ですよ。隊長、お願いします!戻ってきてください!!」

「いや!!」

と即答する。

「黒崎隊長がいないと、隊が成り立たないんです…。」

しかし、負けじと言い返す。

「だって、子供の下では働きたくないんでしょ?餓鬼のくせにって…、むかつくって…、邪魔だって言うから、俺はただの子供に戻ったんだよ…。」

悲しそうな顔をしながら、必死に笑顔を作ろうとする。

「そいつらは全員、制裁しましたから!!もう、黒崎隊長の事を悪く言う人なんていませんよ。だから、そんな顔しないでください。」

「本当…?」

と不安そうに尋ねる。

一護は隊長といっても、まだ7歳の子供だ。

愛される大事な時期に、とても傷ついたことだろう…。

「はい…。」

「…また、皆に会いに来てもいい?」

「もちろん、いいですよ。」

子供はさみしがり屋だ。

仲良くなった人たちと別れたくないんだろう…。

「すまないが、少し聞いてもいいだろうか…。」

と浮竹が遠慮がちに言う。

「なんですか?」

「何?」

と異口同音に答える。

「一護くんは隊長なのかい。」

そう聞くと、一護は1度眼をつぶり、ひとつ息を吐く。

そうして、もう1度開くと雰囲気がいきなりガラッと変わって

「改めまして、零番隊隊長黒崎 一護だ。よろしくなっ!!」

「「「「「「「「「「「「「…えっ!!!」」」」」」」」」」」」」

「山じいは知ってたんですか?」

「ああ。邪魔な奴らを排除するのに意外に、時間がかかってのう…。さびしそうだったから、連れてきたのじゃ。」

「皆も、俺は隊長に見えない?」

と、小首を傾げ、瞳には涙をいっぱいにためて言う。

「そんなことないよ!!」

「隊長は君しかあり得ない。」

「そんなわけありません!!」

などと、1番隊の隊長以外、皆で否定をしたのだった。

 

END

 

BACK…Ⅲ

PARALLELⅡ