『悲しき運命を打ち破れ』碌

 キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。

「おはよう。」

チャイムが鳴った瞬間、入ってきたのは担任の先生。

あれ?昌紀が来てない?!

俺たちより先に出たはずなのに…。

「ねぇ、もっくん。昌紀どうしたんだろう…。」

「あんな奴どうでもいいじゃないか。どうせそこら辺にいるだろう。」

「でも、おかしいよ。だって、昌紀は真面目だからサボるはずないよ。」

「おい、静かにしろ。出席をとるぞ。安部 浩紀。」

「はい。」

「安部 昌紀。」

シーン。

「あれ?安部兄は来てないのか?何にも連絡は聞いてないんだがなぁ…。おい、安部弟。何か言ってなかったか?」

「いえ…何も聞いてません。」

「あいつがサボりなんて珍しいなぁ…。まあ、後で電話してみるか。」

「昌紀…。」

 

 

 

プルルル…、プルルル…。

カチャ。

<もしもし、あさぎ高校の篠崎といいます。安部さんのお宅でしょうか?>

<はい。安部ですが…。>

<私は2年A組の担任をしています。あの浩紀君は来ているのですが、昌紀君が学校に来ていないんです。浩紀君も知らないみたいなんです…。>

<…朝はちゃんと学校に行ったみたいなんですけど…。>

<そうですか…。では、帰ってきたら連絡入れていただけますか?>

<はい、わかりました。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。これからもよろしくお願いします。>

<失礼いたします。>

本当に優等生の安部兄はどうしたんだろうな…。

 

 

 

餌は餌はどこだ…。

あの方の餌は憎き奴の所にいるみたいだ…。

どこまでもじゃまするか…安部 世明!!!

 

NEXT…漆

BACK…伍

PARALLELⅡ