『悲しき運命を打ち破れ』参

もうすぐだ…。

もうすぐ、あの方が目覚める。

それまでに相応しい贄を連れてこなければ…

待っていろ…安部…世明……!!!

 

 

 

「ただいま。」

静かに声を出し、そのまま部屋に向かっていく。

「昌紀、ご飯よ。」と台所のほうから、声が聞こえてくる。

その言葉に、「わかりました。」と返事をし、部屋に入る。

やっと1日が終わった…。

「はぁ…。ご飯にいかなくちゃ。」

また…仮面という名の表情をかぶって。

 

「遅くなりました。」

「みんな揃ったところで、食べようか。」

「「「「「「「いただきます。」」」」」」」

「昌紀、浩紀、ちょっと妖怪退治に行って来い。」

「俺には無理です。霊力がありませんから。」

「はい。」

「何を言っておる。やる前から無理と言っていては何もできんぞ。」

「霊力がないことを知っているのに、言わないでください。浩紀がいるんですから、別にいいじゃないですか。」

「昔はそうじゃったかもしれんが、今なら使えるかも知れんぞ?」

「無理なものは無理です。話はそれだけですか?」

「ああ。」

「なら、もう行っていいすね。ごちそうさまでした。」

「せっかちな奴じゃのう。」

「昌紀は、私たちの前では笑わなくなってしまった…。」

「それより、浩紀。今日から夜警を始めなさい。大きな敵が動き出すと出ている。」

「わかりました。」

「浩紀も行くのか…。会わないように気をつけないとな。さてと、明日の準備もできたし、夜警に備えて寝とかないとな。」

 

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PARALLELⅡ