昔、昔の遠い昔。
そう。
前世の話。
俺は約束をした。
12の人ではない者と…。
その者たちとはとても仲が良かったと思う。
生まれ変わっても会いたいと思うぐらいに。
…しかし、その約束は果たされなかった…。
必ず見つけると約束したのに…。
その者たちは俺を見つけてはくれなかった。
…出会っていたのに。
ジリリリリリリ…。
空に太陽が顔を出し、明るい光がカーテンの隙間から入り込む。
目覚ましを止めると、
「起きろ、清(すい)。」
と言って、ベッドの中で寝ている少年を揺する。
少年を起こしている青年は、ラフな格好をしていて、誰もが羨む容姿をしている。
しかし、耳などの形が人とは違うことを示していた。
ベッドの中にいる少年も綺麗な顔立ちをしていた。
髪は漆黒のストレートで、さらに神聖な雰囲気を醸し出していた。
瞼がかすかに揺れ、目を覚ます前兆が起きる。
「ん…誓(せん)、おはよう。」
そう言うと、布団から清と呼ばれた少年が出てくる。
清はあくびをしながら、誓に笑いかけた。
これが、神納家の朝の習慣だった。
そして、いつもと同じ1日が始まる…。
NEXT…壱
BACK…設定