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『懐かしき過去を思い出せ』
-『悲しき運命を打ち破れ』番外編-
安部家に双子の子が生まれて、7年の月日がたったある日のことだった。
安部家の庭に、髪の長い可愛いらしい男の子がいた。
木陰の中にいて、気にもたれ難しそうな本を読んでいた。
昌紀の日課は、ここで本を読むことだ。
昌紀と双子の浩紀は、いつも世明に遊んでもらい、もっくんと一緒にいる。
しかし、昌紀の近くにも一応十二神将の誰か1人はがいたが、昌紀には見えていなかった。
常人には見えない、人ではないものが昌紀のそばを飛んでいた。
「なんで、私たちが昌紀を見ていないといけないの?」
「世明の命令だ。しょうがないだろう。」
2人とも、昌紀と同じぐらいの歳の姿をしているが、昌紀の何百倍も生きていた。
「ん…。」
背伸びをしながら、息をもらす。
「読みあきちゃった…。少しぐらい、外に出てもいいかなぁ?」
と言って、本をその場において歩いて行く。
しかし、太陰と玄武は口論をしていて気付いていなかった。
昌紀が屋敷の外に出ていることに…。
「えへっ。上手く抜け出せた!どっちに行こうかな?」
そう言って、右の道と左の道を見る。
何となく、左の方に行かなければと思い、歩きだす。
「なんか、俺を…呼んでいる…。」
なぜなのか、行かなければならないと思った。
「行かなきゃ…。」
そう言うと、いつの間にか走っていた。
その頃、太陰と玄武はまだ口論を続けていた。
しかし、あまりに静かさに異変に気づく。
「!!!…ねぇ玄武、昌紀がいないわ!!」
「大変だ。」
「また、白虎に怒られちゃう!」
「それより、探しに行くぞ。」
「わかってるわ!」
そう言って、家の外に飛んで行った。
辿り着いた場所は、安部家の近くの公園だった。
ここは平安時代に安部家の屋敷があったところだ。
今の安部家は少し前の代に、屋敷を新しくするために今の場所に移動したのだ。
そして、前の土地は無駄になるからと言って、町のものが使えるように、公園にしたのだった。
「ここは…。」
知っている…。
俺は、ここを知っている…。
遠い昔、俺はここに住んでいた…。
「うっ!!!」
いきなり激しい頭痛が昌紀を襲う。
痛い…!
なんか…流れてくる…。
やあぁぁぁ!!!
あまりの痛みに昌紀はそのまま意識を失ってしまった。
手に現れた数珠を持って…。
空から探していると、公園に倒れた子供が見える。
「昌紀!!玄武、昌紀が倒れているわ!!」
その言葉に急いで公園に降りる。
昌紀を抱いてみると、少し体が熱い。
子供の体温は高めだが、それにしても熱すぎる。
「熱が出ているようだ…。」
「大変!早く家に連れて帰りましょ。」
「ああ。」
昌紀は、それから2日間も寝込んでいた。
そして、目覚めてみると力が戻っていた。
…昌浩の時の。
しかし、その力は現れた数珠によって封印することができ、それからばれないように、周りと少しずつ離れていった。
もちろん太陰と玄武は、白虎に3時間延々と説教をされた。