『DEAR THE CHILD』PROLOGUE

「お前がいなければ、俺が隊長だったのに!!」

「餓鬼のくせに、生意気なんだよ!!」

「気味が悪い…!!」

やめてっ!!

言わないで!!

俺は、ただ皆を守りたかっただけなのに…。

 

 

 

嫌な言葉が耳から離れない…。

最近は隊舎にもいけないので、ずっと家の庭にある木の下にいる。

それは、誰が見ても痛々しい姿だった。

「いつまでそうして居るつもりじゃ?」

そう言ってきたのは、山本総隊長だった。

しかし、近くに人が来ていることにも、気付かないぐらい弱っていた…。

「そんなに暇じゃったら、ちょっとついてこんか?」

少しでも気持ちが和らぐように提案してみる。

「…どこに?」

反応は鈍かったが、少しは興味を持ったみたいだ。

「おもしろいとこじゃよ。」

「おもしろいとこ?」

「そうじゃ。たまには、息抜きも必要じゃからのう…。きっと、気にいるぞ。」

「……本当に?」

「ああ。大丈夫じゃよ。」

「…行く…。」

おもしろいとこがどこだか想像はつかなかったが、ただ行きたいと思った。

「そうか。なら、早速行こう。」

「うん!!」

と元気よく返事をし、歩いて行った。

 

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