「俺、越前 リョーマ。よろしくっ。」
その小さな台風が来たのは、新しい学年になった時のことだった…。
「えっと…君は何者かな?」
「だから、越前 リョーマって言ってるでしょ。」
腰に手を当て、人差し指を立てて言う。
スカートをたなびかせ、その姿はまるで地上に舞い降りた天使のようだった。
「おぉ、もう来とったのか。」
「あっ、ばあさん…。」
竜崎が来たことをいいことに、手塚が代表をして聞く。
「竜崎先生、この子は一体何者なんですか?」
「この子はあたしの教え子の子供だよ。アメリカからの帰国子女で、男子テニス部のマネージャー兼トレーナーをしてくれるために来てくれた。」
「でも、こんな子が役に立つんっすか?!」
リョーマは言ってきた相手…桃城に反射的に言い返す。
「なんか文句でもあんの?」
頬を軽く膨らませながら、桃城を睨みつける。
「やめときな桃城。この子はプロも教えて来た、あっちではとても有名な子だよ。それに、テニスの腕でもお前じゃ敵わないよ。この子の父親は元プロ選手だからね。」
「えっ?!そんなにすごい子なんですか?こんなに小さい女の子が?!」
「あんた、俺に喧嘩売ってんの?小さいとか女だからって言うやつって最悪。そういうの偏見だと思うよ。なんなら、テニスで勝負してみる?ねぇいいでしょ、ばあさん」
「まぁ、いいんじゃろう。お前たちもリョーマの実力を知るいい機会だろう。」
「ばあさん、ありがとう!さっ、今すぐやろうよ。」
アーモンドの形をした大きな瞳をぱっちりと開き、桃城を見て不敵に笑う。
「でもよぉ…。」
「何?もしかして、俺に負けるのが怖いの?」
「何だと!!いいだろう、やってやろうじゃねぇか!俺に負けても泣くんじゃねぇぞ。」
「泣くわけないじゃん。だって俺、負けないもん。」
そう言って、口角を上げニヤリと笑った。
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